39.混戦必須のデートプラン計画
※今回百合表現があります
「デートがしたいってどういうことですか?」
「まぁ、別に構わないが誰と誰が?」
ミスティはちょっともじもじしながらルチアの腕に抱きつき、こう言った。
「そりゃ、もちろん。私とルチアさんですよ」
「あれ、いつの間に付き合ってたの?」
「ルチア、手が早いって」
「は? え? ボク一言も聞いてないんだけど……」
いきなりミスティに抱きつかれ、挙げ句付き合っている発言を受けたルチアは盛大に混乱した。ルチア自身ミスティは好みのタイプだったため告白されたら付き合うつもりでいたが、まさか相手から先制攻撃を仕掛けられるとは思っておらず困惑していた。
「え? ちょっと待ってよ。ボクは付き合っているなんて事ないとおも……イテテテ!」
「え? 毎晩好き好きって囁いていたのに!? ルチアさんは確かにボクもって言ってたじゃないですか!!」
「あれ、キミだったのかい!?」
「オマエら、早速いちゃつくな」
「そうですよ。恋人いない私達にとって目に毒ですから」
早速2人の目の前でいちゃつき始めた2人にショコラとハルは呆れたような目を向けた。ルチアは首を絞められたままだったが、ショコラ達はそれをなかったことにした。
しばらく経ってを離れようとしない2人をとうとう呆れ、ショコラとハルはデートプランを練ることにした。
「ところで、ミスティオマエ行きたいところってあるか?」
「行きたいところですか? うーん……かれこれ500年は生きてますけど……やっぱりアクセサリーショップとかスイーツハウスとかに行ってみたいですね」
「あー確かにリディルにもそういうところあったな」
「後は劇場とかどうです? 好きなジャンルとかありますか?」
「そうですね……主にはホラーとかが好きですがやっぱり恋愛ですかね」
「……へー……そうなんだ……」
やはり幽霊の魔女というだけあってこういうホラーとかも好きだったのかということをハルはビックリしながら聞いていた。最もリディルの劇場ではホラーの公演は滅多に行われないが……。
しかし、そんな中全く話についていけない人が一人いたのだ。
「あのー……皆さ、ちょっとボクの意見は?」
「あ、いたんだ」
「ヒドくない?!」
そう、先程の付き合ってる発言から呆然としてたルチアはプランが着々と立てられるのを黙って聞いていただけなのだ。ルチアは慌てながらこう発言した。
「ボクまだミスティに告白してないんだけど」
「じゃあ私から言います。好きです、ルチアさん」
「そう言うことじゃなくってね!? さすがに寝てるときに告白はノーカンだろ!?」
慌てて弁解しようとするルチアだが、その一言がミスティを怒らせた。
「ルチアさんは、私のことが嫌いだって言うんですか?」
「そうじゃないの! ただ勝手にボクの彼女を名乗るなってだけで……」
「ヒドい! ルチアさん、私とは遊びだったんですね!」
「どこで覚えたんだ、そんなセリフは!」
「ルチア、今まで女遊びがヒドいヒドいとは思っていたけどまさかここまでだったとは……」
「ショコラ!? 何変なこと言ってるんだキミは!?」
「嘘ですね! 私だけですよね!」
そう言い、ミスティはルチアにサンダーを唱える。ものの見事に喰らったルチアは黒焦げになったが、すぐに復活し、ミスティに反論する。そして、それにショコラが茶々を入れるというなんともまぁカオスな図になっていた。
ハルは昼ドラってリアルでもあるんだなぁ……と思いながらこの喧噪をバックに読書を始めていたが、すぐに戻されてしまった。
「ハル! キミも何か一言言ったらどうかい!? というかボクを援護してくれ!」
「いやですよ、面白いのでしばらくはそうして下さい。まぁ、このようなドロドロな劇見てるだけで面白いので……」
「キミは悪魔か!?」
「今までの自分のこと振り返ってから言ってください」
ルチアに助けを求められたが、ハルはそれをスルーし、また読書に戻った。しばらくの間読書を続けていたハルだったが、いよいよ図書館が危うくなったとき、喧嘩を止めた。
「……キミは図書館とボクの命どっちが大事なんだい?」
「そんなもん図書館に決まってますよ」
「……筋金入りだね……」
何回か魔法を喰らったのか既にボロボロなルチアはハルのその図書館及び読書に対する並々ならぬ態度に呆れつつも感心した。ハルはそんなルチアを無視し、再びデートプランの方に戻った。
「……ということで、デートプランに関してはお二方これでいいですか?」
「はーい! もちろんです!」
「もう……勝手にしてくれ……」
ウキウキなミスティと反対にルチアは既に意気消沈しており、反論する気力も無さそうだった。
こうして、図書館の無事と引き換えにルチアがダメージを受けた事によりデートプランはなんとか完成したのであった。
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