八峡処罰執行

「あぁッ、クソッ」

「またこれかよッ!」

「離せコラッ!」

「俺ァまだやる事があるんだよッ!」


「なら罰則金を払え」

「五百万だ」


「だから無ェって言ってんだろうがッ!」


「……金を出してくれる様な知り合いは居たか?」


「携帯電話から適当に連絡を入れてますが」

「殆どが留守です、まあ大方」

「あれに金を出す様な人間は居ませんよ」


「そうか、……時間が惜しい」

「処罰を始めろ」


「受けるかクソがァ!!」

「ッこんな、所でッ」

「俺は、ッぐむ!」


「装着を完了した」

「これより処罰を執行する」


(ぐッ!クソッ)

(んな、こんな、所でッ)

(まだ、俺は、お嬢にッ―――ッ!!)

(………)

(…………あ?)

(何時になったら始まるんだよ、コレ)

(……うわ、なんだ、装置が外れッ!?)

「ぐわ……んだ、これ……」

「なんだよ、お前ら」


「待て」

「今罰則金の手続きを行われている」


「あ?」

「なんだよ」

「金なら無ェって………」


「……了解した」

「おい貴様」

「良かったな」

「罰則金が支払われた」


「は?誰が、払ったんだよ」


「……そうか」

「今、電話を替わる」

「ほら、挨拶をしろ」


「あ、あぁ……もしもし?」


『やあ、私だよ』


「は、え?て、照、さん?」


『私が代わりに払っておいた』


「え、な、どうして。すか?」


『キミの給料、まだ払って無かったからね』

『解放する為に使わせて貰ったよ』


「え、いや、でもそれ」

「照さんが、俺を鍛えてくれる条件に……」


『……そうだね』

『なら、これは出資だよ』

『あの懲罰を受けて』

『精神を狂わすには惜しい人材だ』

『だから救った』

『キミには』

『金を出す程の価値はある』


「……っ、はっ」

「なんだ、これ……うわっ」

「泣いてんのか、俺……ははっ」

「ダッセェ……く、はは……」


『さて』

『解放した以上は』

『一体何があったか聞かせて貰おうか』


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