全ては贄波家の為に


「八峡義弥」

「お前の過去は凄惨なものだ」

「幼少の頃から虐待されていて」

「引き取られた親戚には」

「犯罪者だと蔑まれた」

「多くの人間を犠牲にして」

「多くの人間を不幸にして」

「お前は今其処に立っている」

「誰かの犠牲の元で其処に在る」

「あぁなんて恥知らず」

「お前は他人に迷惑を掛けて生きている」

「みっともない」

「恥ずかしく無いのかい?」

「八峡義弥?」


「………ふ、」

「ひゃ」

「ひゃひゃひゃ」

「あー、凄い凄い」

「俺ん為に俺ん過去」

「必死になって調べてくれたんだ?」

「お婆ちゃん凄いねぇー」

「………で?」

「その後は?」

「何を褒めりゃ良いんだ?」

「流石お婆ちゃん」

「一人でトイレにいけたんだ」

「うわぁ凄い凄い」

「って、手を叩いて褒めりゃ良いのか?」

「ひゃひゃ」


「………品の無い餓鬼だねぇ」


「モラル無いお婆ちゃんに言われたく無いんすけど?」

「んな事ァどうでもいいんだよ」

(焦んな……怒りは鎮めろ)

(俺んやり方で吹かせてやる)

「あのよ婆さん」

「何お嬢をぶっ壊してんだ?」


「なんだい?」

「お前はこの女に惚れているのかい?」


「あ?当たり前だろうが」

「そりゃもうゾッコンよ」

「惚れちまったから贔屓してんだよ」

「見りゃ分かんだろうが」

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