寮内戦闘煽り合い合戦

 

「ッは、ァ」


「やっぱり」

「贄波家の術式は使えない様子だね」


「ッ、それが、どうしたと言うのかしらッ」

(この男ッ、右腕から糸鋸)

(左腕から丸鋸を出している)

(四方八方から織り成す攻撃)

(隙を見出すのが難しいわ……)

(少しだけ、時間が欲しい)

(その時間さえあれば………)

(士柄武物の準備が出来るのにッ)


「先程から」

「チラチラとバッグの方を見ているね」

「もしかして」

「そのバッグの中にあるモノが」

「キミの新しい戦術かな?」


「っ、さあ、どうかしら?」


「ふふ、視線で丸分かりだよ」

「だから首から上は不要なんだ」

「煩い口も憎たらしい表情も」

「見なくて済むからね」


「………ふふ」

「ねえ貴方」

「口やら手やら足やら」

「そういう事に関して異常な程に反応しているけれど」

「もしかして、そういうトラウマでも持ってるのかしら?」

「だとしたら」

「とんだ女々しい男ね」

「女の一言や二言を」

「飲み込む事すら出来ないだなんて」


「あれ、キミ自分が小煩い人間だって知ってるんだ?」

「笑みを浮かべて楽しそうに言葉を返してるけど」

「恥ずかしいから止めた方が良いよ?」


「あら?早口?」

「ごめんなさい、聞き取れなかったわ」


「キミの耳が悪いだけだよ」

「残念、やはり結論は」

「首から上は必要ない」


「ッ!」

(糸鋸ッ早い、逃げッぁ)


「――――ぎゅひゅッ!」

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