車で一緒

 

「いやまさか」

「マジでお嬢と一緒とはなァ」


「えぇ、偶然ってあるのね」


「つか」

「前は行動別なのに」

「今日は一緒の車なんだな」


「そう、ね」

「私はお婆様から離れているし」

「車呼ぶと料金掛かるのよ」


「え、マジかよ」

「じゃあお嬢」

「なんかお嬢様から転落してんじゃん」


「なんでそうなるのよ」

「いや別に」

「お嬢様なんて」

「思った事は無いけれど」

「と言うか八峡」

「近すぎないかしら?」


「あ?」

「後部座席に座るんだから」

「これくらい普通じゃね?」


「そ、そう?」

「……ねえ」

「少し離れてくれないかしら?」


「後部座席でどう離れろってんだよ」


「前に行くかそれとも」

「トランクに乗るか」


「んだよソレ」

「其処まで俺と同じが嫌かよ」

「昔のトラウマ思い出すわ」


「べ、別にそういう意味じゃないわ」

「ただ、匂いが……なんだか」

「ドキドキ、して……」


「お嬢、なんだよ」

「俺のフェロモンに発情してんのか?」


「べ、別にそういう意味じゃないわよッ!」


「じゃあ匂いが臭いのか?」


「そうでも無いわッ!」

「あぁ、もうッムードもへったくれも無い男ねッ!」


「これから仕事だってのに」

「ムードもへったくれも無いだろ」


「……そうね」

「えぇ、私が間違ってたわ」

「ごめんなさい」


「……え?」

「お嬢」

「拗ねてる?」

「俺ん事好きすぎかよ」


「ばッ!」

「違うって言ってるでしょうに!!」

「もう、このッばかッ!」


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