女装する男が凄い女らしく見える時もある

 

「あっ、いらっしゃいませ~」

「あ~お得意さんぢゃ~ん元気ぃ~」

「え~ウチに会いに来てくれたん~?」

「も~ちょ~うれしぃぢゃんか~」

「でぇ今日なにするかんぢぃ?」

「ん~おすすめはぁ~このゴージャスホイップかなぁ~」

「え~選んでくれんの?マヂィ?うれし~」

「ぢゃ、オーダー入れてくるねぇ~バイバ~イ」

「………はぁ、クソ」

「あのご婦人どもが」

「ベタベタ俺ん尻触ってきやがって」

「セクハラだセクハラ」

「訴えてやる」


「うわぁ……お兄ちゃん」

「すごいね、演技」


「あ?」

「仕事なんざこんなモンだろ」

「裏表を使い分けんのが仕事でもあるんだからな」

「けど、流石に女装はキツいわ」


「そうかな、意外と」

「ノリノリじゃない?」


「んなワケねぇだろうが」

「訓練の一環だと思わねぇと」

「こんなの意味ねぇよ」

「はい、どうも」

「あ、お待たせぇ~」

「これ、ゴージャスホイップ」

「ちょ~ゴージャスって感じぢゃん?」


「わあ」

「すごいなお兄ちゃん………」


「……意外と見込みがある」


「あ、おとーさん」


「店主と呼びなさい」

「見なさい」

「男でありながら」

「女装服を着ると声帯を切り替え」

「顔や骨格すら変わってる」

「あれは天性の才能に近い何かだと思う多分」


「なんかおぼろげだねマスター」

「うん……でも、すごいねお兄ちゃん」

「ボクも、負けてられないなっ!」


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