ホットドックじゃないホットドッ「グ」だ二度と間違えるな


「はむ……ふっ」

「……これ、おいしいわ」

「何気に」

「こういうパンに挟んだモノを」

「外で食べるのって初めてね」


「まあ」

「お嬢ってお嬢様らしいしな」

「ブルジョワって感じ」


「なによ」

「まるで高飛車なお嬢様」

「みたいな言い方は」


「えらく具体的な〈みたい〉だな」

「いや悪い意味じゃねぇよ」

「高貴なお嬢様が」

「庶民な食事食べて感激するの」

「そういうの嫌いじゃねぇって話」


「えらく具体的な〈話〉ね」


「はっ意趣返しか?」

「………あー、美味ェわ」

「炭酸欲しィわなんか」

「あ、お嬢炭酸って知ってるか?」


「バカにしてるのかしら貴方」

「炭酸なんていくらでも飲んだ事あるわ」


「あ?そうか」

「………はッ」


「なによ」

「鼻で笑って」

「一体全体」

「何処がおかしいのかしら?」


「んや」

「たださ」

「お嬢って時折素になるよな」


「素?」

「私が?」

「私は常に素なのだけれど」


「自分じゃ分んねぇのか?」

「まあ、そうか」

「どっちかと言えばよ」

「お嬢の素の方がさ」

「なんか良いよな」


「っ……なに?」

「私の事好きなの、貴方?」


「好きじゃなかったらこんな話しねぇよ」

「がふっ……はふっ……ん、ぐっ」

「はぁ……俺ァメシ先食ったけどよ」

「お嬢なんか飲み物要るか?」


「………いい」

「私はゆっくり食べるから」


「そうか」

「俺ァ喉乾いてるから」

「適当に自販機で買って来るわ」


「え、あ、じゃあ」

「やっぱり私のも買ってきて」


「どっちだよ……」

「まあいいか」

「何が良い?」


「……オレンジジュース」


「は、オレンジジュースね」

「はいはい、了解」


「……素の私」

「………私の本当って……何?」


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