価値の消失


「何だテメェ」


「餓蛇」

「それが名前」


(腕……伸び……)

(伸び過ぎだろッ)


「〈自我じが継承けいしょう〉」


(あ?)

(なんつったコイツ……)

(早ッ)

(間に合わッ―――)

「か、はッ―――」

(け、こうッ)

(離れた距離、だってのに……)

(腕……伸びやがった)

(その状態で)

(吹き飛ばす程の威力っ)


「キミ」

「弱いねぇ」

「さっきの攻撃」

「対処出来なかったんだ」


「なん、だとッ」

「テメェッ」


「じゃあ次は……」

「攻撃をするからさぁ」



(は)

(やッ)

(―――ッ)


「がッッ?!」

(あ、し、士柄ぶ、ブツッ、折れッ!)


(おれッ、俺の)

(か、ちが……価値、価値……)


「……もしかしてぇ」

「戦場に立つの」

「初めてな感じぃ?」

「ちょっと、やめてよねぇ」

「死ぬ覚悟が出来てないからって」

「相手は手を止めたりしないんだからさぁッ!」


「―――ッ」

「八峡ッ!!」


「八峡ッ」

「しっかりなさいッ!」


(ぁ)

(そう、だ)

(俺、はまだ……)

(価値が……残ってる)

(他の価値を残す、為に)

(俺が……犠牲に、なら、ねぇと)


「腕」

「折れてるじゃない……」

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