価値観の付加

「はいはい」

「ご終了です」


「ぁ……」


「………ぉ」

「お、じょお?」


「お、ぇは」

「ぇ、は……」


「こ、れだけ、は」

「ひ、てい……させ、ぇ」


「……あの日の」

「私が言えなかった事」

「今」

「此処で答えるわ」


「き、ぃたく……ね。ぇっ」


「八峡」

「貴方は」

「無価値な存在は」

「価値ある者の為に」

「犠牲になれば良い」

「……つまり、そう言ったのね」


「め、てくれ……」

「やめ、て……くれ」


「お、おれ、の」

「おれの、これ、この、かち、価値、だけは……」

「取らないで、くれ……奪わない、で……くれ」

「たの、む……否定、しないで……くれ……」


「八峡ッ」

「八峡義弥ッ!」

「顔を上げなさいッ!!」


「私は」

「いい、八峡ッ」

「私は」

「貴方の価値観は否定しないわ」

「私の言葉が」

「私とは違う捉え方であろうとも」

「私の言葉で」

「貴方が感じた事を尊重する」


「けど」

「貴方の価値観は本当にそれで良いのかしら?」

「それ以外にも」

「何か別の道があるとは思わないのかしら?」


「貴方はその道しか知らない」

「だからその価値観にしか縋る事が出来ない」

「なら」

「私が他の道を」

「価値観を貴方にあげるわ」

「だから」

「貴方は選びなさい」


「これは強制じゃないの」

「あくまでも」

「貴方が選ぶのよ」

「私が」

「貴方に贈るわ」

「だから私を見なさい」

「多くの価値を与えてあげるから」


「わか……わかッ」

「っ、わか、った」

「お嬢、俺、は……」

「取り合えず、……寝て、寝る、そ」

「それで……起きた、ら」

「そん、時は……」

「俺に……教えて、くれ……」


「……貴方」

「本当に贄波先生の娘さんですか?」


「だって」

「贄波先生とは似つかわない」

「聖人みたいな人ですから」


「そんなんじゃないわ」

「むしろ悪人よ」

「私」

「まだ彼が欲する答えを」

「見つけて無いもの」




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