懲罰委員会

「こんにちわ~」

「懲罰委員会ですっ!」


「誰すか?」


「懲罰委員会をご存じではない?」

「ならば仕方がありませんね」

「軽いご説明を行いますから」

「私は座りますので」

「貴方は立って聞いて下さいねっ!」


(なんかイラっとすんな)


「懲罰委員会は」

「禁忌条約に違反した祓ヰ師に」

「処分を決定、実行する機関です」

「まあ、処分が重いと判断した場合は」

「評議会に回して」

「審議が行われますが」

「基本的に」

「軽度のものであれば」

「独断で私たちが来ます」


「……つまり俺は」

「軽度の違反者ってワケすか?」


「違反は違反ですよ」

「軽度であろうとも」

「重度であろうとも」

「違反者には罰を」

「それが懲罰委員会です」


「……俺」

「違反する様な事したんすか?」


「はいしました」

「それも数十件」

「貴方は」

「故意的に一般人に危害を加えてはならない」

「これを知らないのですか?」


「いや」

「でもあれ」


「言い訳は無用です」

「一般人に危害を加えた」

「その事実だけは覆りません」

「ですので」

「貴方には二つの選択があります」

「一、違反金の支払いを行うか」

「二、違反分の懲罰を受けるか」

「このどちらかです」


「ちなみに」

「違反金って幾らすか?」


「大体四百七十万ですね」

「お相手様の治療費と」

「後は記憶抹消作業の費用」

「初犯の為に金額は減ってますけどね」


「じゃあ罰で」


「……ふふ」

「二言はありませんね?」


「それではこちらへどうぞ?」

「八峡義弥さん」


「なんだこりゃ」

「いつの間にこんなモン……」


「懲罰委員会は」

「懲罰室すら簡単に作れます」

「えへん」


「いや」

「そんな誇る事じゃないんすけど」


「これ」

「こん中に入れば良いんすか?」


「はい」

「中に入って下さいね」

「そして」

「部屋の中には」

「装置があります」

「その装置は」

「貴方が逃げ出さない様に」

「縛り付ける為の拘束具となってます」


「うへぇ」

「なんか電気椅子みてぇだな……」

「気分が悪ィ」


「ある種」

「処刑の様なものです」


「は?」

「マジすか?」


「はい」

「マジのマジです」

「物怖じしましたか?」

「どうします?」

「お金を払いますか?」

「そうしたら」

「懲罰は帳消しとなります」

「それとも」

「罰を受けずに逃げます?」

「それを選択するのならば」

「私は手出しをしませんけど」

「ですが……」

「それをしてしまえば」

「貴方はもう」

「祓ヰ師では無くなる」

「ただの」

「外化師として追われますが?」


「吐いた唾は飲み込みませんよ」

「やって貰いましょうか」


「ふふ」

「素敵ですね」

(その言葉)

(その余裕)

(意地、意志、意欲)

(傲慢が)

(崩れる様が)

(楽しみです)

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