警察署にご用心
「お望みのモンはこれですね」
「……阿野祐大」
「加害者は……」
「
「下陰ですか」
「知ってるのかしら?」
「そいつ」
「結構有名ですよ」
「無論、ワルとしてですが」
「そいつはね」
「窃盗とか強姦とか」
「些細なモンに手を出してまして」
「他にはクサとか」
「其処等辺の売買をしてたんですよ」
「まあ」
「未成年過ぎて犯行してたんで」
「しょっぴかれましたが」
「そろそろ出て来るんじゃないんですかね?」
(両親が)
(子の仇を取る為に)
(加害者を殺したとすれば……)
(次は、この下陰と言う男を)
(殺す可能性がある……)
(だとすれば)
(この男の元に行けば)
(外化師に関わる人間に)
(出会う可能性がある……)
「その男」
「刑務所に居るのね?」
「何時出て来るのかしら?」
「さぁ……?」
「調べなさい」
「なるべく早く」
「良いかしら?」
「はい……」
「それじゃ」
「暫くお待ちくださいね、と」
「………」
「どうぞ?」
「は?」
「殺人犯?」
「警察署すか」
「いや、でも俺」
「あ……はい」
「了解しました」
「それじゃ、はい」
「すぐに……はい」
「あのぅ」
「なんか、此処に」
「殺人犯来るみたいで」
「少し待って貰っても……」
「何故?」
「いや」
「暴れるみたいなんで……」
「万が一を考えて」
「みたいです……」
「貴方は良いわ」
「私が行くから連絡して」
「代わりの人間が行くと」
「こっちは急いでるの」
「貴方は私の欲する情報を」
「早く探しなさいな」
(あぁ、もうッ)
(次から次へと……)
(三歩進んで)
(二歩下がった様な気分だわ)
「大人しくしろッ」
「うっせぇ」
「離せやッ」
「俺ァ」
「祓ヰ師だぞッ!」
「嘘を吐けッ」
「殺人犯がッ!このッ、暴れるなッ!」
「………」
「がッぎッ、う、腕ェ!」
「無理やり、動かすなックソがッ!」
「怪我して、してんだッゴラァ!」
「……あぁ」
「もう……本ッ当に……」
「ねぇ」
「離して頂戴」
「彼、私の連れよ」
「誰だ」
「ここで何をしている?」
「……」
「祓ヰ師」
「まさか、本物?」
「彼も」
「私と同じ祓ヰ師なの」
「離して貰える?」
「いや」
「でもこの男は……」
「だからッ」
「殺人犯じゃねぇって」
「言ってんだろうが!」
「さっさと外せやッ!」
「ねぇ」
「殺人ってどういう意味かしら?」
「え、えっと……」
「それが……」
「……八峡」
「人を殺したの?」
「ざけんな」
「獣は殺したが」
「人はまだ殺してねぇよ」
「故意的に殺害したり」
「故意的に、人を傷つける行為を行ったら」
「懲罰委員会の対象よ?」
「……で」
「何故貴方はその家に居たの?」
「あ?俺か」
「俺は……」
「阿野……そう、やっぱり」
「間違いないわ」
「阿野両親は」
「外化師・納所と」
「結託している」
「だからよ」
「俺ァ情報を探ろうと」
「家まで行ったのによォ」
「邪魔されちまったんだよ」
「まあ」
「仕方ないわ」
「一見にしてみれば」
「一番妖しかったのは貴方ですもの」
「それに」
「家に招き入れたと言う事は」
「もうその家に対して」
「価値は無い」
「あるいは」
「証拠はないと」
「見て良いかも知れないわ」
「じゃあどうすんだよ」
「また人探しか?」
「……あ」
「やっべ」
「忘れる所だったわ」
「おら」
「士柄武物返しやがれ」
「しが、?」
「ナイフと」
「旋棍だ」
「早くしろや」
「いいえ」
「手掛かりならあるわ」
「阿野家は」
「息子の敵討ちをしているの」
「その対象は三人」
「既に二人死亡しているけれど」
「まだ一人」
「復讐する相手は残っているのよ」
「はァん」
「成程な」
「まぁ、それが理由ってなら」
「確かに筋は通ってるわな」
「その最後の一人を殺す前に」
「俺らが見つけて」
「監視してりゃ」
「相手の方から勝手に来てくれる」
「そりゃ、楽なもんだ」
「その最後の一人の居場所が何処か」
「分からないって点を瞑ればよ」
「刑務所よ」
「その男、犯罪者らしいわ」
「………はァん」
「すいません、遅くなりやした」
「そう」
「やっと、なのね?」
「それで」
「その男は?」
「県外の刑務所に服役中だったんですけど」
「そいつ、今朝出所したらしくて」
「今は、もう刑務所には居ないみたいです」
「うそ」
「……最悪」
「つまりは」
「その男、殺されてるかも知れないわ」
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