指削ぎ
「誰に雇われた」
「言えよ、ほら」
「……ッ」
「そうか」
「あくまでも教える気はねぇか」
「じゃあどうすっかね」
「そうだな……」
「三秒」
「俺が数える」
「一秒過ぎる毎に」
「指を削ぐ」
「永遠にグーしか」
「出来ない手にしてやるよ」
「じゃあ、行くぞ?」
「そんな真似したって」
「無駄だ、クソがッ」
「指を切ってみろや」
「死んでも言わねぇぞッ!」
「一秒」
「あぎゃあああああああッ!!」
「はッ」
「あぎゃあって」
「ゴキブリみたいな叫びすんじゃねぇよ」
「良し」
「次は小指な」
「わ、わか、わかった」
「やめ、やめて」
「あ?なに?」
「二秒」
「ぎ、ひッぎゃッ」
「あ、バランス悪いな」
「はいもう一本」
「ひゃ、あ、ああああッ」
「俺、ゆ、指、い、いぃッ」
「騒ぐなよ」
「うるせえな」
「まったくよォ……」
「おら、言えや」
「四本目ェ!」
「ぎゃ、ああああッ!」
「ひ、ぎッ」
「い、い、いま、ッッ」
「遅いわ、はい」
「最後の一本」
「ぎゃ、ひあぁッ!!」
「……っし」
「じゃあよ」
「教えて貰おうか」
「誰に雇われた?」
「ぐふッひゅっ」
「ひうぎ、ッあ」
「おい、聞いてんだろ」
「ひぐッ、ぐッ」
「ひぎぁッ!?」
「……あのさ」
「勘違いすんなよ?」
「片方の指全部削いだからってよ」
「まだ、もう片方あるし……」
「なんなら」
「足の指もあんだろ?」
「言いたくない?」
「別に良いけどよ」
「俺にもストレスって奴があんだよ」
「その解消法に……」
「お前の顔が歪む様を見させてくれ」
「ひゃひゃ」
「セラピーの才能あるんだな、お前」
「な、名前は知らねぇ」
「けど、女だった」
「あ?いきなりホラ吹いてんじゃねぇぞ」
「う、嘘じゃねぇ!」
「女が、ある男を痛めつけてくれって」
「結構な羽振りだったからよ」
「前金に合わせて」
「仕事が終わったら」
「マワしてもいいって言ったんだ!」
「………」
(あ?つまりは……)
(金+体ってワケか)
(はぁん……)
「あ?お前それ」
「良い女だったか?」
「へ、へへ」
「別に、其処までだ」
「体つきは、普通だよ」
「髪も痛んでて」
「中古のババアって印象だ」
「はぁん………」
(一応は)
(コイツの話が本当だとして)
(外化師は二人組か)
(面倒臭ェな)
「うっし」
「もうお前は用済みだわ」
「ちょ、ちょまてッ」
「まだ、話はあるッ!」
「なんだよ?」
「お、俺は」
「そいつの住所、知ってんだ」
「後は雇った奴にしてくれッ」
「殺さないでくれよォ……」
「……ちょっと待て」
「なんで住所なんて知ってんだよ?」
「し、仕事が終わったら」
「金を取りに来いって」
「住所、教えてくれたんだ」
(……罠か?)
(普通、そう考える、が)
(其処に手掛かりがある可能性もある)
(行かない手はねぇな……)
(………よし)
「そうか」
「そりゃ凄い情報だ」
「大手柄だよ、あんた」
「安心しろ」
「もうさっきの真似なんかしない」
「むしろ謝るわ」
「悪かった、許してくれ」
「ほら」
「お前の指」
「拾ってやるよ」
「綺麗に切断したから」
「医者に見せれば繋がるかも知れねぇぞ?」
(知らねぇけど)
(優しい……)
「さあ」
「案内してくれ」
「俺、土地勘ねぇから」
「お前だけが、便りなんだ」
「そうかそうか」
「一緒に行ってくれるか」
「ありがとう」
「じゃあ行こうか」
「あ」
「待て」
「血飛沫の服じゃ」
「目立つわ」
「適当に着替えるわ」
「おらッ」
「服脱げや」
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