おこおこ

(何よ)

(何よ、何よ!)

(まるで私が)

(贄波家に貢献してない様な)

(言い方なんてしてッ)

(私は)

(お婆様が思っているよりも)

(贄波家に相応しい人間として)

(活動していると言うのにッ)

(それを)

(遊び惚けている様な言い方ッ)

(気に喰わない)

(えぇ)

(まったく気に食わないわっ!)

(自分は男を侍らせて……)

(私に文句を言う資格なんてあるかしらっ)

「……いいえ」

「言われる筋合いなんて、ないわっ」

「何がッ」

「何が自由は無い、よ」

「『今の内に学生気分を味わえばえぇ』?」

「こっちは祓ヰ師として活動してるのッ!」

「今まで、一度だって」

「私は遊びで生きた事なんて無いのっ!」

「贄波家の当主として恥ずかしくない様にッ」

「生きてるってのッ!」

「それなのに、この、業突くババアッ!!」

「少しくらい……」

「認めてくれても……良いじゃない」


「っ……は、ぁ」


「――――が」

「ひ、ッ……ぐッ」


「……え?」

「八峡、目覚っ」

「目覚め―――」


「はッ……ァ」


「い、痛ェ……ァ、クソッ」


「起きて、る?」

(いえ、これは)

(意識が無い……)

(譫言……)

「と、りあえず」

「先生」

「滑栄先生をッ」


「ちょッ」

「えっと、確か」

「ナースコール……」


『すぐに行く』



「は、はッ……あ、がッ」


(……今)

(私が出来る事は)

(……何も、無い)


「ひ、ぎッ……あがッ、ぁッ」

「し、にッね」

「死にた、ッく、」

「死にたく、ねぇ……」


(……私も)

(昔は)

(こんな表情をしたものね……)

(誰も居ない……)

(一人の夜は、寂しかったもの)

(たった一人でも)

(あの時の私には必要だった……)

(貴方も、そんな気持ちなのかしら?)

「……大丈夫」

「貴方は、死なないわ」

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