また明日ね




「出席簿」

「書きに行くんだっけ?」


「えぇ」

「貴方は倉庫に行くのよね?」


「うん」

「倉庫に行って」

「今週までに」

「自分の絡繰機巧」

「新しくしなきゃ」


「大変じゃないのかしら」

「その、改良を加えるのは」


「ん?ううん」

「楽しいよ」

「だってさ」

「何百年も前の作品は」

「時代によって」

「本来の性能が失われてたけど」

「私の手によって」

「失われたカタチが再現されていく」

「私が」

「昔の姿を戻していく」

「なんだかそれって」

「ロマンを感じるんだ」

「そう思わない?」


「……そうね」

「とても素敵な事だと思うわ」


「でしょ?」

「だから」

「苦しい事なんてない」

「……まあ」

「この話」

「お爺ちゃんの受け売りなんだけどね」


「ふぅん」


「あ、私こっちだ」

「じゃあね、璃々ちゃん」

「また明日にでも」


「えぇ」

「それじゃあ」

「静月」


「良い子ですね」


「あら」

「界守」

「居たのね」


「えぇ」

「私は常に」

「お嬢様の傍に」

「自慰をしている時も」

「傍に居ますよ」


「しないのだけれど」


「え?」

「ご冗談を」


「ついこの前」


「黙りなさい」

「公衆の面前で」

「恥を知りなさい」


「はい」

「申し訳ありません」

「で、お嬢様」

「次は、どちらへ?」


「教室に行くわ」

「出席簿に記入しないと」


「左様ですか」

「それではそちら迄」

「向かいましょうか」


「えぇ、そうね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る