変態メイドと会話


「久々の外出」

「久々の街」

「……まあ」

「相変わらず」

「人込みの多いこと」


「そうですね」

「ではお嬢様」

「ご案内しましょう」

「こちらが『SとM』に―――」


「行くわけないでしょうに」

「例え行った所で」

「何をしろと言うのよ」


「ん、ふふ」

「お嬢様、ご冗談を」

「当然そういった如何わしい店ですので」

「様々なジョークなグッズが御座います」

「文字通りSM用の道具や衣装があれば」

「それ以外にも学生用の衣類も御座います」


「別に」

「説明してくれなくても良いわ」

「買う予定も」

「使う予定も」

「これから無いですもの」


「ふふ、お嬢様」

「つまりは」

「自らの手こそが」

「恋人と言うワケですね」


「あー……はいはい」

「もういいから」

「行くわよ界守」

「荷物持ち」

「きちんとしなさいな」


「承知しましたお嬢様」


「……っと」

「……?」


「如何なされましたか?」

「店の方に顔を向けて」

「もしや」

「アダルトな撮影の最中では」


「そんなのに目を向ける筈ないでしょっ!」

「別に、ただ、知り合いが居ただけだから」


「はあ、お知り合い、ですか」

「それは、深い仲で?」


「違うわ」

「私は……そういうの、必要無いから」


「……そう、ですか」

「………あ、お知り合いが」

「こちらに気が付いた様子」


「え、ちょ」


「逃げますか?」


「そ、そんなの失礼でしょッ!?」


「あ、やっぱり」

「贄波さんだ」

「やっほやっほ」


「……どうも」

「葦北、さん」

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