第48話 生存委託

 地下道にまで、響いてくる絶叫 断末魔


「…………深く、深く…………守る…………深く、何者にも…………侵されない、深く…………地の底に」


師匠ゴーレムの意味不明の呟きを残して


2体のゴーレムと師匠ゴーレムは、壊れたように穴を掘り入り口を埋めていく


魔力を使い果たし倦怠感の為に座り込む俺は、周りから伝わる狂気に侵され何も考えられなくなり、ただゴーレム達の動きを見つめた。


入り口をもう少しで塞ぎ終わろうとした時に


全ては、無駄になった


入り口を塞ごうとしていた、土がはじけ飛び


光る巨大な目が、外からのぞき込んできた。


そして、強大な目の持ち主はゴーレム達と同じように


掘り出した、この狭い地下道に入り込む為に



 無理だ…………


外に現れた、魔獣の土を掘るスピードは あまりにも早い


凶悪な爪が、土をまるで抵抗など無いかのように掻き出していく。


すぐに、俺は


殺され


魔樹海に連れ去られるだろう


沢山の村人達と同じように



「オクク、こっち!!」


師匠ゴーレムに腕を掴まれ、地下道の一番奥に放り込まれた。


「守るから」


俺に背を向ける師匠ゴーレムと2体のゴーレム


「大丈夫だ!! すぐに すぐに 戻ってくる 父さんが!! 母さんが!! 村の戦士たちが!!」


俺を背に隠しながら、師匠ゴーレムは答えた


「森に入った戦士は全滅、生存者無し」


「嘘だ!! 父さんが死ぬわけない それに なんで、お前がそんな事わかるんだ!!」


「4重魔法陣の効果の記憶共有により、森に入ったゴーレムから情報が伝えられました」


4重魔法陣の効果、そう 発動時からその効果は俺は知っている


そして、その効果でゴーレム達が賢くなる 色々な作業が出来るようになった


でも そのれでも 認められない


「あっあ、あ」


「守るから」


魔物の爪が迫ったきた。




 3重魔法陣のゴーレム 2体が消し飛んだ。


まるで、土を掻き出すついでに、爪が引っ掛かかってしまったからと言う感じで


「あ」


「守るから」


師匠ゴーレムは振り向いて、俺を抱いた。


「あっあ」


俺も、師匠ゴーレムに抱き着いた 力一杯抱き着いた もう離れる事が無いように



「ああああああああ!!」



「あ~~~~~~!!」



「嫌だ~~~~~~~~~~~!! 父さん 母さん た、助けて 助けて~~~~!!」 



 魔法陣が発動する


 5重魔法陣が




 5重魔法陣が2つ



僅かに残った魔力と、血と肉が吸われる


見えている、腕が指が 半分の太さに変わっていく



 そこから現れたゴーレム2体は、師匠ゴーレムに抱き着く俺の頭を撫でると


魔物に向かって 走り出した。



それは、人の戦い方とはまるで違う


まるで、倒せれば 後はどうでもいいような戦い


隙を作るために、一体がその身を投げ出し 爪によって引き裂かれる


その隙をついて、魔物に接近する もう一体のゴーレム


魔物の大きな顎が開き、襲い掛かる


ゴーレムは、まるで無視するかのように進み 半身を失う


魔物に半身を食いちぎられながらも、その目に腕を突き刺し


 

  脳を掻きまわす



嬉しそうに 悲しそうに



「父さん、 母さん 」


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