1月7日 白井冬至朗の日記

 ダメだ。ムダなのだ。いくら今、アオを消そうとしている人間を見つけても、そいつが31日にアオを刺す人物だとは限らない。アオの敵は(オレにとってもだが)これから出会うのかもしれない。いつ出会うかはわからないのだ。人を刺そうというくらい強い感情だ。普通ならば、長い期間、積もりに積もった恨みだろう。あと一ヶ月もない。現時点で見えない敵はアオにいい感情を持っていないはずだ。そいつを見つけて安心して別のやつにやられる危険性は消えないのだ。ばくぜんとアオを刺す人物さえ見つければ、後はそいつをアオに近づけなければよいと思っていた。それで運命を変えられると思っていた。それかアオの行動を変えることで、恨みを買わないようさせることができる。そう考えていた。甘い。甘すぎる。ただ、アオがそう何人もの人間から強い恨みを持たれるとは思えない。やはり恋愛がらみか。そっち方面ばかり警戒していると足下すくわれかねないけれど。そもそも今ある人間関係の外から襲撃者はやってくるかもしれないのだ。おばの暴力団員じゃないけれど、逃亡中の強盗犯とか、泥棒がアオと鉢合わせとか、可能性はいろいろある。頭が痛い。

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