一月六日 桃野千秋の日記

 半年以上ぶりに電車に乗った。どうしても電車に乗らないといけなかったのに、そんな日に限って電車が止まる。気分が悪くなったお客様が出たそう。正直、迷惑な話。

 停車中の車内は混むってほどでもなかったけど、ガラガラってわけでもない。変な緊張感。誰かがせき込むと、みんな一斉にそっちを見る。見てはさっと目をそらす。

 ちょっと開いていた窓を広めに開ける女の人がいて、それをこの寒いのになにしてくれるんだみたいな目でにらむオジサンがいて。近くじゃなかったからいいけど、同じ車両の端のほうではぶつぶつと露骨に文句を言い出す頭のおかしい若いスーツ姿の人がいた。

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