第36話 ネクロフィリア
指輪を離せば済む話。そう、重くて投げるのは難しいが。
「ほら、返すぞ」
身体がとたんに軽くなる。魔力がどっと抜け落ちたのが分かる。だが、魔力なんてどうでもいい。
「えっ、ちょっと嘘でしょ」
戦闘魔術師の炎を切断魔法でかき切って強行突破する。炎が横に開けて壁に当たって戻ってくるが、火傷なんてかまっていられるか。
俺はいいアイデアを閃いたんだ。そのアイデアを実行するためなら火傷の一つや二つも構わないさ。
「俺はいいけど、マルセル姫も焦げてるぞ。戦闘魔術師、姫には手加減してくれよ」
「や、やめなさい! あんたたち! 痛くないけど、加減をしなさいよ!」
人形は燃えたら一環の終わりだもんな。それよりも、早く今からマルセルの墓場に向かう。お前の魂は人形に移っていても、お前の死体は墓場に眠っているんだろう?
横の木に戦闘魔術師の腸で作った縄で人形のマルセルを縛りつけておく。
「はーい、マルセル笑って」
マルセル、人形だから笑えないか。でも、ずっとぴーぴーうるさく泣いている。涙も出ないのにな。
マルセルは一応、王族扱いされていたからマルセルの墓を見つけるのは簡単だった。
そして、俺は破裂魔法を連打する感じで、墓場で穴を掘り。棺を取り出す。
これは我ながら、えろしーんが大変なことになりそうだな。
髪は残っていたからマルセルって分かるんだけど、緑の瞳の代わりにしわしわにミイラ化した閉じたまぶた。
まだ、人としてのかたちは保ってるけど、触れると石みたいに冷たい。
肌色の皮膚は腐食して、黒いはん点がたくさんあるし、組まれた腕にはうじ虫が湧いている。ちょっときついな。
「俺的にきついときは、そっち見るわ」
マルセル人形の緑のガラスの瞳を見ながら、腐ったマルセルの死体を
「変態! 本物の変態よ! 真の変態よ!」
「変態変態うるさいな。お前は拷問しても今、その状態じゃ何も痛みを感じないんだろ。だったらこうするしかないじゃん」
乳房も固いし、半分腐って崩れ落ちてぐじゅぐじゅだし、死んだらすごい残念な感じになる。
俺がマルセルの遺体を触りまくるとマルセルは泣いてる。いいぞ、もっと見せつけてやる。
お前の身体は今俺の手によって好き放題なんだよ。
唇は臭いから、キスは流石にやめとくけど。
「あんたは、悪魔よ! この世の者じゃないわ」
「悪魔は誉め言葉だよな。それに、この世の者じゃないのは、お前の方だからな」
最後に腐臭のするマルセルの死体に、えろしーんして人形マルセルも一緒に棺に入れといた。
「サックサク……違った、べっとべとだな」
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