第64話 家族の再会

「お母様!リリアンヌ!フレデリカも元気そうね!」

「ふふ、元気そうで良かったわ、レフィーア」

「……姉さん苦しい」

「お姉ちゃん久しぶり!」


久しぶりの再会に喜ぶ我が母と姉たち。


こうして揃ってるのを見るのは本当に久しぶりだけど、相変わらず親子揃って美人さん揃いなのは流石だと思う。


「義父上、ご無沙汰しております。マルクスも元気そうだね」

「うむ、久しいなジーク」

「お久しぶりです。ジーク義兄さん」


そして、イケメングループも何ともクールに再会していた。


どっちを見ても華やかで、目の保養にはなるけど、同時に眩しい……サングラスとか無いかな?


それくらい、全員がキラキラしているので、俺もああして光るような美形になりたかったものだとしみじみとおも……いや、そうなったらなったで、苦労しそうだし、今くらいがベターなのかな?


うーむ、難しい問題だ。


「お疲れ様、トール。楽しかった?」

「……殿下、一人だけ逃げないでくださいよ」


そして、俺は端の方で疲れきってるトールに声をかけた。


レフィーア姉様とクレアの2人を相手取って中々に疲労してる様子。


普段の訓練や、熊狩りとか魔物狩りでもここまで消耗はしてなかったはずだ。


それほどまでに強敵ということなのだろう。


女性というのは凄いね。


「まあ、俺は運送業があったしね」

「だったら、護衛の僕も連れて行ってくださいよ」

「それはほら、愛しの姉様の頼みだし、断れないよ」


そう、俺は敬愛する姉のために、断腸の思いでトールをこの場に残したのだ。


決して、トールを残したら面白いことになりそうとか、トールがレフィーア姉様のいいオモチャになったら楽しそうなどという薄情な考えはなかったのだと言っておく。


「まあ、幸いというか、アイリスへの質問が多かったからまだマシでしたけどね……」


そのアイリスはというと、クレアと話しつつも、俺と視線が合うと恥ずかしそうに視線を逸らして、でもまたチラッと見てを繰り返していた。


何あの可愛い生き物。


「それにしても、こうしてご家族が揃ってるのを見ると、殿下は目立ちますね」

「そう?まあ、一人だけ容姿が普通だしね」

「少なくとも、砂漠生まれで、白髪の真っ白な子供を普通とは言わないかと」


冷静にそんなことを言われてしまう。


失礼なヤツめ。


まあ、確かに、黒髪褐色のイケメン、美少女、美女揃いの中で変わった感じの髪色と肌色だが、そこまで目立ち過ぎでもないと思う。


少なくとも、家族の容姿の良さに入れば紛れるくらいは出来てる気がする。


まあ、アイリスやトールという、うさ耳美少女orうさ耳美少年が側に居ることも紛れ込める要素の1つではあるかもしれない。


「それで、例の件だが……」

「ええ、それに関しては問題なく。あとは、他の貴族に渡りをつければいけるかと」

「こっちの方は、既に根回しは済んでますので、そこは大丈夫だと思いますよ」


気がつけば、我が家族の俺以外が所属するイケメングループは、再会の喜びから一転、仕事の話に入っていた。


まあ、普段手紙でのやり取りですらかなりの時間を必要とするのだから、こうして直に会えてその流れになるのも分からなくはないが……真面目というか、仕事熱心というか、俺には真似できそうになかった。


「え!?そんな料理があるの!?」

「ええ、それはもう、美味しいのよ」

「……うん、とっても。ちなみにエルが考えたらしい」

「とっても美味しいんだよ!お姉ちゃんも後で作って貰うといいよ!」


そして、これまた華やかな我が家族の美人さんグループは、やれ色恋の話しやら、俺の作った料理の話やらと、色々と楽しそうに盛り上がっていた。


こっちはこっちで、らしい会話だけど、にしても今の会話の流れだと俺が何かしら夕飯を作らされる流れになりそうだなぁと、苦笑する。


別に、作るのは構わないけど、果たして何を作らされるのか……やっぱりカレーかな?


それだったら、チーズも手に入ったしチーズカレーも味わってもらえるかも。


そうして、再会を楽しんでから、初孫の顔が見たいと母様が仰られたので、甥のフリードを皆で見に行くが、初孫にテンションがマックスな母様と、甥の可愛さにやられた姉様達を制するのは中々に大変だった。


父様も地味に初孫に心を奪われていたが、そこはやはりイケメンらしくというか、微笑ましそうに眺めていた。


マルクス兄様もその辺は割と落ち着いていたが、子供の可愛さにどこかホッコリしていたようだ。


にしても……母様が祖母とか中々にイメージが結びつかないな。


結婚年齢が早いから、割と早く孫の顔を見ることになるのは普通かもしれないが母様の場合実年齢よりも若く見えるので、余計にそう感じるのかもしれない。


まあ、俺みたいな子供が叔父という時点でその辺は仕方ないのだろうけど。


叔父って、俺としてはかなりクールなオジサマを想像したくなるが、あと何年先にそんな未来があるのかは不明であった。


それ以前に俺にその領域に入る資格はなさそうだけど。


甥が大きくなった、剣の稽古をつけたいと仰られるフレデリカ姉様や、一緒に本を読みたいと仰るリリアンヌ姉様も、子供の可愛さには惹かれるものがあるらしい。


何とも、我が甥は皆から愛される存在で何よりだ。






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