だから、ぼくになる。
はるた。
第1話 女の子らしさ
「ピアノが得意そう」
「料理が上手そう」
「優等生だね」
きっと、誰もが抱く幻想。
勝手に貼られたレッテルに沿ってそのように演じる。
だけど、いつだって期待ばかりが遠くを行くから、どこにもありのままでいられる居場所はなかった。
本当は男の子みたいに外遊びが好きなのに。
本当はかわいらしいものなんて似合わないのに。
女の子は楽しい。
メイクは楽しい。
恋は楽しい。
オシャレは楽しい。
洋服を見るのは楽しい。
きっと、どれも普通の女の子ならすきなこと。
だけど、そのどれもが義務に思えてならなかった。
女の子なら、メイクを楽しめなきゃいけない。
女の子なら、オシャレでなくちゃいけない。
まあ、多少なりとオシャレが楽しいと思えることもあったけれど、
世の中の女性の比ではないだろう。
スカートはみんなキラキラした魔法に満ちている。
「振り向いてほしい」「可愛くなりたい」
誰かへと向かう静かな鼓動が、そうさせているようでぼくにはとても眩しかった。
きっと変われる、というわずかな望みさえももっていなければ、その魔法に少しの興味も持てなかったから。
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