一月十一日

「今日、早いね」

 朝起きてきた私に灰色のネズミは、あいさつより先にそう聞いた。

「見てた夢がおもしろくなくなったから、もう続きはいいやって思って」

 仕事先に嫌な感じの客が来たのだ。

「そもそもピークなのにフロアに一人なのがおかしいと思う」

 憤慨する私に灰色のネズミはマグカップを差し出す。

「まあ、夢だから。仕方ないよ」

 彼が淹れてくれた緑茶は甘かった。

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