第2話 モリアーティ

情報屋「はい、はい。イザヤか。

    ああ?無宗教の墓?

    なんだって急に。

    わかった、わかった。

    対価は。わかった」


情報屋、電話を切る。


情報屋OFF

情報屋「新興宗教、風の会。この界隈、いわゆる芸能界ってヤツ?では有名らしい。

ある程度有名なユーチューバー、炎上経験のあるインスタグラマー、おっと」


情報屋「すげぇな、岸洋佑に和田雅成、吉沢亮、こんなにいるなんてな」


天の声「こちらの風の会は、ある条件を満たさないと入れない仕組みになっております」


情報屋「元子役でも構わないかい?」


天の声「出演情報が見当たりません」


情報屋「地味に傷つくなぁ、その言い草。ネットに載ってないんだよ」


天の声「テストに合格しました」


情報屋「え?」


天の声「声紋鑑定にかけました。

アクセントが登録情報と合致致しません。おそらく、訓練によるものかと」


情報屋「疑ってたの」


天の声「疑問符に語尾あげが見当たりません」


情報屋「ご名答。水戸の街中で育ったからね」


天の声「他言無用でお願いしますよ」


情報屋「わかっているって」


吉沢亮「それではみなさん、始めましょうか」


情報屋「マジモンの吉沢亮なの?AIじゃないよね?」


吉沢亮「個体としてのわたくし、でしょうか、芸能人としてのわたくしを御所望でしょうか」


情報屋「岸洋佑」


わずかに眉を動かす吉沢亮。


情報屋「モノホンか。本当に親友なんだな」


吉沢亮「わたくしどもの仲を疑うならどうぞ」


情報屋「見えないんだよなぁ」


吉沢亮「?」


情報屋「嘘くさいな」


吉沢亮「よく言われます。ああ、わたくしはここで。和田雅成と岸洋佑がケンカをし始めたようですので」


情報屋「ん」


天の声「ゲートオープン。あなたの対価を支払ってください」


情報屋「命でいい?財産ないもんで」


天の声「才能、ではいかがでしょう」


情報屋「才能?」


天の声「あなたの書く能力。わたしにくださいませんか?」


情報屋「お断りだ。命なら差し出すが対価として妥当な判断じゃないだろう」


天の声「なら、仕方ない」


声、変わる。


情報屋「あんた、南圭介か」


南圭介「客人に対しては親切に。

    それが我らのモットー。

    書く能力を我々に使うべきだ。

   知名度のない君が書いても意味がないが、和田雅成、岸洋佑、吉沢亮がシナリオを書いたら第二のウェントスワース・ミラーの出来上がりだ。

   日本にはまだいない。加藤シゲアキは小説は書けてもシナリオは書けない。

  でも、だ。ゴーストライターに任せれば話は別だ。

  俺と取引をしよう」


情報屋「ファウスト、か。命と引き換え、なんて言うんじゃなかったな」


南圭介「ん、まー、洋佑がうん、って言わないだろーし」


情報屋「え?」


南圭介「あらためて。我々のために脚本を書く気は」


情報屋「金積まれても嫌だね」



南圭介「好きな役者に演じてもらう好機じゃないか」



情報屋「俺は俺の力で上に行く。あんたの力は借りない」


情報屋、消える。


南圭介「おもしれー女」




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