Wedding / 改めまして
新郎二人に向かい、清廉な言葉を述べる。
偽物の聖職者など罰当たりなと叱られそうだが、親友の結婚式にこういう形で立ち会えるとは何とも感慨深い。
昔をよく知る仲だけあって特にその思いは格別だ。
あぁ、ちょっと顔がヤバイな。
泣きそうだ。
ひと芝居打って誤魔化せ、ハルト。
「汝、ツヅキハルトは……あぁ、皆さん。
暫しお時間をいただきます、感激屋さんが
ケイ、連れていけ」
俯いて涙ぐむハルトに抱きつかれたまま招待客へ顔を向けぬよう速やかにトイレへと
やれやれ、可愛くなったもんだ。
「芝居が、クサすぎる……」
「お陰で涙を溢さずに済んだじゃん」
ダメだ、涙腺崩壊が甚だしい。
「落ち着くまで待たせればいいよ、金にモノ言わせたから今日一日貸切りだし」
「言い方……」
友人、そして両親の参列。
知らずにいた自分が感激しないで居られるか、バカ!!
「もう、きみのやることには本当に驚きばかりだよ、心臓に悪いから前以て言いなさい」
「それじゃ、サプライズになんないしー」
これ以上は要らんわ!!
「嬉しいよな、こんだけの人が祝ってくれるって。俺たちスゲェ
「昔に比べたら本当に信じられないよ……」
ちょいとモチダケイさん、一言よろしい?
洗面台に腰掛ける僕をハルが
「過去は楽しいものだけ思い出したいけど、お互いそういう訳にもいかないじゃん?
もし、ふとしたところで悲しい出来事が
――――お前はひとりじゃない
「きみはどんどん大人になっていくね」
「お近づきになれて光栄です、って俺、もう今年30歳なんだけどっ!
大人ですよ!」
にかっと無邪気に笑うハルの頬に触れる。
「落ち着いてきた、ありがとう」
では、改めまして!
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