エピソード51-24

ポケクリバトル会場 14:50時――


 準決勝を勝ち抜いたグループA及びC。

 会場は熱狂の渦に巻き込まれていた。


「えー、時間が押している関係で、ゆっくりとチーム紹介が出来ないのが残念ですが、簡単にご紹介を」 


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」


 シロミがチームのメンバーを一人ずつ紹介していく。


 「先ずはグループA、『ミラージュ・ナイツ』!」



「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」



「リーダー、『バッシュ』さん!」わぁ~!

「続いて『レッド』さん!」わぁ~!

「『クロス』さん!」わぁ~!

「『テロル』さん!」わぁ~!

「最後に『ヤクト』さん!」わぁ~!


 巨大スクリーンにメンバーが映り、名前が呼ばれると手を挙げて観客にアピールする。



「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」



 紹介が終わり、一礼するメンバーたち。

 続いてクロミがグループCを紹介する。 


「さぁーてお待ちかね、グループC、『ギャラクティカ・ソルジャーズ』のご紹介です!」



「「「「うおぉぉぉぉー!!」」」」



「リーダー、『ツンギレ』さん!」わぁぁ~!!

「続いて、『親指溶鉱炉』さん!」わぁ~!

「『スパダリ』さん!」わぁ~!

「『メリーバッドエンド』さん!」わぁ~!

「そして『自サバ女』さん!」わぁぁぁ~!!


 グループAと同様に、チームメンバーがスクリーンに映り、一人ずつ挨拶している。

 紹介の際、注目されているメンバーが出た時の歓声の大きさは、明確だった。

 ここでも、顔にボカシが入り、認識出来ない仕様になっている。

 それを見て、観客たちが騒ぎ始めた。


「おい、『自サバ女』って、シズムンじゃねぇの?」ざわ…

「確かに、背格好はその位だし、髪の色も藍色だし……」ざわ…

「ちょっと待って、って事は、『スパダリ』は、ユズル様だったりして? 髪の色、同じだし……」ざわ…


 ざわついている観客たちはお構いなしに、シロミたちは進行を続ける。


「えー、クロミさん、いよいよ決勝ですが、見どころはどの辺りでしょう?」

「うーん、そうですね。最終戦ですから、両チーム共フルパワーで臨むでしょう。まだレジェンドを温存しているかも知れませんし」

「間もなく始まります最終決戦、勝利の女神はどちらに微笑むか?」


 カンペが出され、シロミたちのアナウンスが入った。


「それでは、『ポケットクリーチャー・ギルガメッシュ』制作決定記念企画」

「『ポケクリバトルトーナメント団体戦IN膜張』決勝戦を行います!」



「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」



 蘭子がインカムでメンバーに指示を送った。


〔みんな、こっからは総力戦だ。遠慮はしなくてイイ。全力でかかれ!〕


〔〔〔〔了解!!〕〕〕〕



 最後のメンバーの設定が終了すると、『準備完了!』の表示が出て、すぐにカウントダウンが始まった。


「3・2・1 READY GO!」



「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」



 対戦が始まり、フィールドにそれぞれのポケクリが召喚され、シロミが実況を始めた。


「両者のポケクリが召喚されました! お? こ、これは……」


 実況中のシロミが言葉に詰まった。それを見てクロミが実況を引き継いだ。


「何という事でしょう!? 超レジェンド級ポケクリ『ブラッカラム』が二体、フィールドに召喚されたぁ!!」


 

「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」



 クロミが実況した通り、フィールドにはグループAとCに、それぞれブラッカラムが召喚されていた。

 それぞれが召喚したポケクリは、


  グループA        グループC

 

 バッシュ ブラッカラム  ツンギレ      ブラッカラム

 レッド  ミャウツーZ  親指溶鉱炉     ブルーアイズ・RD

 クロス  ズワース    スパダリ      イワオ

 テロル  サーバイン   メリーバッドエンド ギシアン

 ヤクト  クラブガンナー 自サバ女      ペカチュウ


 であった。

 両者が召喚したポケクリを見て、観客がざわめいた。


「ブラッカラムが二体? 嘘だろ?」ざわ…

「Aはそれに加えて激レアのミャウツーZを出して来たぞ? 他もレア揃いだ」ざわ…

「それに比べてCは、ブラッカラムには驚いたが、他はさっきと同じじゃないかよ……」ざわ…


 シロミが実況を再開した。


「進行的に紛らわしいので、略称でAブラとCブラとさせて頂きます!」

「AとC、同族同種でも、育成方法に違いがある以上、互角かは不明です!」 


 開始早々、シズムが操るペカチュウが、地面系のズワースにノーマル技を連打し始めた。


「おっと、先制はやはりこの人、『自サバ女』さんだぁ!」


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」


 今までの戦い同様、レベル差の為、一打毎のダメージが少ない。


「物凄い数のヒット! しかし、属性の相性かHPの減りが極端に遅い!」


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」


 達也が操っているブルーアイズが、Aブラに攻撃を仕掛けるべく動くが、行く手を阻む者がいた。


「おっと! Aブラに速攻をかけようとしたブルーアイズに、ミャウツーZが立ちはだかる!」


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」 


 ミャウツーZはエスパー系の激レアである。

 

「ミャウツーZは【サイコカッター】で様子を見ている!」

「ブルーアイズ、被弾するがダメージはごくわずか! 効果は今一つだ!」


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」 


 シロミが別のポケクリを見つけ、実況する。


「おーとっ! 鋼系のクラブガンナー、岩系初期レベルのイワオに、容赦なく【砲撃】を繰り返す!」


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」 


 格上のクラブガンナーが放つ無数の【砲撃】が、次々にイワオに着弾する。

 イワオは丸くなり、真っ向から【砲撃】を受けている。


「しかし! ダメージが全く通らない! 硬い! 硬いですイワオ! 防御に全振りか?」


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」 


 他の者に気を取られていたのか、シロミが絶叫した。


「おーっと!! Aブラに果敢に攻撃を挑む者が現れた! 何とフェアリー系『ギシアン』です!」

「まぁ、ドラゴン系対策にはフェアリー系がセオリーですから、驚く事は無いでしょう。ほら、Cブラにも『サーバイン』が攻撃を仕掛けるみたいです」


 クロミは平静を装っていたが、内心はかなり動揺していた。


〔さぁ、いくわよぉ♪ 私の【愛撫】に悶えなさぁい♡ フフフフ〕


「おっーと! ギシアンがAブラに【愛撫】を発動!」

「ほぼ同時にサーバインがCブラに【闇落ち】を発動!」


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」 


 ドラゴン系VSフェアリー系同士のバトルに、明暗がはっきりと表れた。


「サーバイン、痛恨のコマンドミスか!? 『悪の権化』であるブラカッカムに、闇系の攻撃が通るワケが無い!」

「対してAブラは? ……効いてます! 効果は抜群だ!」 


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」 


 せめてブルーアイズになら抜群の効果が得られただろうに。


「制限時間が3分を切り、お互い消耗戦に突入!」


「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」 


 互いにHPの削り合いとなっている現状。

 ここでユズルが動いた。


〔行くぞ、イワオ!【進化の実】!〕


「おーっと、グループC『スパダリ』さん、イワオにアイテムを投入!」


 防戦一方だったイワオが、投げ入れられたアイテムを拾い、口に入れた。



 パァァァァァァ!!



「ま、眩しい! 何が起こっているのでしょうか?」


 巨大スクリーンが眩く光り、観客たちの視界を一瞬奪った。


「う、うう。まばゆい光に包まれたフィールドは……何だ? あれは!?」


 視力が戻ったシロミが、画面に映るポケクリを見て絶句している。

 ゴツゴツとした皮膚から、かろうじて岩系である事は想像が付く。


「クロミ、何が起こったの? もしかして……『進化』?」ざわ…

「いや、おかしい……イワオの最終形態は『ゴロニャーン』だぞ!?」ざわ…


 このざわつきは、数十秒間続いた。

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