第156話ジョギング

朝食前、近藤と土方はジョギングを始めた。近藤は最近太ってきた。土方は登山の体力をつけるためである。丁度一走りすれば朝食の算段だ。二人とも最新のジョギングシューズとウェアで揃えて、いかにもジョガーである。


「朝から精が出ますね」


沖田のひやかしを無視して二人はプロテインを牛乳で飲んでいる。


「局長、大切なものはタンパク質ですぞ」


「ほう、タンパク質」


近藤はネットで検索してみた。


「なるほど、肉体を構成する重要な栄養なのだな」


良く知っているな、と土方をめた。新聞の広告欄で得た知識だ。二人は意気投合してスポーツショップへ行き、最新のウエアとシューズを買い込んだ。二人が店員のお勧めで買ったサポートタイツの素晴らしさに感動した。


「局長、これは膝や太腿ふとももを補助してくれますぞ」


「値段は高いが良い買い物だ」


普段祐介の書斎にこもりがちな二人にはジョギングは丁度良い運動になった。朝は二人揃って走るが午後などはそれぞれ思うように走りに行く。二人は河川敷を走る事が多い。自動車が走っていない分、走りやすいし、ジョギング仲間も出来た。


「歳。走るのは爽快だな」


「稽古とは違う、良い汗をかけます」


土方はマラソン雑誌を読み、フルマラソンなる競技を知った。現代の距離が今一つ理解できない。近藤が調べてみた。


「十一里!」


とんでもない距離だ。現代人は早い人間で一刻で走るそうだ。飛脚でもそれほど早くない。


「過酷な競技であるな」


マラソンの動画を見た近藤は。痩せきった彼らの肉体を見てそう思った。


「己の健康を維持するだけで良い」


そう言った近藤だが後にこの発言を撤回し、フルマラソンにチャレンジするのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る