第98話眠れぬ夜に

近藤は目が醒めた。酷く寝汗をかき、布団を出る。時計は深夜の0時、の刻である。度々眠れぬ夜がある。そんな時は小野田家の居間に出て、テレビ等を観て時間を潰すのである。小野田家では眠れぬ夜のために夜食等が用意してある。カップラーメン、お菓子等が常備してある。


「よし、ラーメンでも食べようか」


近藤はラーメンを作る事にした。電気ポットの置いてある所へ隊士のために使い方が書いてある。手順通りにすると熱湯が出る。非常に便利だ。カップラーメンの蓋を開けてお湯を注ぐ。蓋をしてしばし待つ。カップラーメンが出来上がる。近藤はカップラーメンを気に入っている。夜泣き蕎麦など何時から食べていないだろう。


「近藤さん、眠れないんですか」


詩織が声を掛けてきた。


「今日のように暖かな日の夜は寝汗などかいて眠れなくなるのです」


「そうですね、気温の寒暖差が辛い時はあります」


話を聞くと詩織も眠れない日は多いという。思えば日々の任務で疲れ切った日常より現代に来て眠れない日は多くなった。


「カップラーメン、私も食べよう」


詩織は積み上げられている中から適当なものを選んでお湯を入れた。今夜は普段なかなかゆっくり話ができない二人である。深夜のお喋りは盛り上がった。夜は長い。近藤は詩織に昔の生活の話をした。初春であり、まだストーブが必要であるが、小腹を満たすと自然と体は暖まる。


「詩織殿、仕事の方は順調ですか」


「はい、順調です。あまりまとまった金額にはなりませんが」


モデルと言う仕事は薄給だそうだ。モデルから何とかして女優やタレントになりたがる人が多いという。


「詩織殿はそのつもりは?」


「いえ、全くそのつもりはありません。モデルとして生活ができるまで頑張ります」


他愛も無い会話で夜が更けていく。

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