第248話 デパートのアンケートの集計結果について話し合いを始めた。
「解散の雰囲気だったのに呼び止めてすまない。
それじゃあデパートのアンケートの集計が終わったから、意見が多かったものや話し合うべきだと思った内容を言っていく。
それについて皆の意見を基に改善していこうと思うから、よろしく頼むぞ。」
「「「「「わかりました。」」」」」
ドリアードに連れて行かれそうになったところを何とか呼び止めて、デパートについて話し合いをすることに。
まだご飯時じゃないのに、こんな時間に食堂なんて行ったらご飯が入らなくなる。
ドリアードは一人で食堂に向かおうとしたが、何かを察知したのかあらぬ方向を見上げて消えてしまった。
どこかで災害が起きる予兆を感じたのかもしれない。
「それじゃあ最初にデパートの建物の構造についてだ。
人が多くて少し息苦しさを感じるという意見が結構出ている、改装をすれば何とかなるかもしれないが……何か案はないだろうか?」
一応俺自身で考えている案もあるが、皆の意見も聞きたい。
「大きな窓を作って換気をするのが一番じゃない?」
シュテフィが最初に意見を出す、俺の案と概ね一致しているな。
「ですがそれだけだとその周りしか改善されないような……。
建物ごと改装して大きくすれば広々としていいと思います。」
熱心に利用しているメアリーからの意見、一応今の土地利用状況だと少し大きくは出来るが……それ以上となると場所自体を移動させるしかないな。
「空気の循環が出来ればいいんだけど、この世界に空調なんて無いし。
早くクリーンエネルギー機構が開発出来れば、そのエネルギーで何とか出来そうなのに。
行き詰ってるわけじゃないけど、慎重に進めないと失敗したら大変だからなぁ。」
「空気の循環、空調……?
それは何だ?」
珍しく流澪の言葉にオスカーが反応する、何か思うところがあるのだろうか。
「風の力で空気を効率良く巡らせたり、涼しくしたり暖かくするものね。
現状だとそんな技術は無いから無い物ねだりなんだけど……。」
「そのようなことで解決するのか。
それならドラゴン族に風を操る者がいるぞ、そいつに頼めば何とかなるかもしれん。」
「何とかなるかもじゃなくて、解決しそう……。
クリーンエネルギー機構、ほんとにこの世界に必要なのかしら。」
オスカーの言葉を聞いて頭を抱える流澪、この村が特殊なだけで流澪の研究は絶対役に立つと思うぞ。
それにこの村でエネルギーをどう使うかは考えてあるから安心してほしい、このあたりは流澪も思いついてそうだけどな。
「オスカー、ちょっとそのドラゴン族を呼んできてもらえるか。
出来るかどうか確認を取りたい。」
「承知した、すぐに呼んでこよう。」
オスカーは風を操るドラゴン族を呼びに席を立った、その間に次の話を進めるとしようか。
「多分解決するから次の話に行こう。
ほぼ全てのアンケート用紙に記入されていたものだが……抽選枠の増加を検討してほしいという意見だ。
これについては現状どう思うか、利用者と店舗の運営をしている人達の意見が欲しい。」
「店舗運営をしてるマーメイド族としては、現状が適正かと思います。
あれ以上のお客さんが来てしまうとちょっと対応がしんどいですね……。」
「やっぱりそうだよな、俺も軽く覗かせてもらったが大変そうだったし。」
「しんどいですが楽しいのは確かですよ!
やりがいはあるので、デパートが開店する季節の変わり目が待ち遠しいくらいですから!」
そう言ってもらえると助かる、だが運営がこれ以上は無理だというなら抽選枠は増やせないな。
利用している女性達からも話を聞きたいが、俺の案を聞いてすぐ別の場所で固まって話し合いをしている。
「お店を見れる人が増えたら可能か?」
「うーん、それは出来ると思いますが……現状村の人手を考えると厳しいと思いますよ。
外部から人を雇うなら別ですが、信頼できる人じゃないと難しいですし。」
ごもっともな意見が返って来た、確かにそうだよな……人材育成だってしなければならないし。
キュウビの言っていたサキュバス・インキュバス族がこちらに移住を検討しているそうだし、そういった仕事を任せれないかな。
種族名を聞く限り本来の仕事は村には無さそうだし。
あっても困るけど。
「商人ギルドを通じて人を雇うのもいいけど、精鋭がこぞって出店してるだろうしまともな人が残っているかどうかだよなぁ。
それに各領から商人を集中させてしまうと、その領の経済が止まってしまうかもしれないし、現実的じゃないか。
サキュバス・インキュバス族がこちらに移住してくれたらマーメイド族の手助けを仕事にしてもらうか。」
「えぇ、緊張しますねそれは……一度見たことありますが美男美女揃いなんですよね……。」
アストリッドがもじもじしながら顔を赤らめる、とても緊張しているようには見えない。
やっぱり美形が多いんだな、魅了する種族だろうし外見が整ってないと興味を持ってもらえないだろうし当然と言えば当然か。
「だが、種族本来の仕事を村で任せることは出来ないし妥当なところだと思う。
魔族領と人間領に需要があるなら出張してもらってもいいけどさ。」
「え、サキュバス・インキュバス族の方々は充分村の手助けになると思いますよ?」
アストリッドがキョトンとした顔で言葉を返してくる。
「そんなに困ってる人が居るのか?」
「多少は居るんじゃないですか?
私も時々困ってますし、村でも時々しんどそうな顔をしてる人が居るので。」
しんどかったら余計そういう事は控えるべきじゃないのだろうか。
いや、逆に出来てなくてしんどいのかもしれない……そのあたりは種族の違いがあるのかもな。
俺はしんどい時はゆっくり休みたい派だ、というか人間は大体そうだと思う。
しかしそこまで村に困ってる人がいるとは思わなかった……結構皆節操無いんだな。
だが夫婦の契りを交わしてない人もちらほら居るし、困ってる人が居ると言われれば納得はする。
「しかし困ってるって、アストリッドは夫婦の契りを交わしてる人はいないのか?
時々男性のマーメイド族と仲良くしてるのを見るけど。」
「その人が私の夫ですが、急にどうしたんです?」
ますます分からなくなる、そういう事は夫婦でするものじゃないのだろうか。
それとも倦怠期というやつか、いやしかしホントについ最近一緒に仲良くしてるのを見たし……とてもそうは見えなかった。
家ではギスギスしてるとかか?
平和な村ではあると思っているが、流石に個々の家庭環境までは把握出来てないし……。
「村長、今日は変ですねぇ。
一体どうしたんですか、サキュバス・インキュバス族の話になってからおかしいですよ?」
俺は恥ずかしいがアストリッドに耳打ちで俺が思っていることを説明する――それを聞いたアストリッドはお腹を抱えて笑い転げだした。
「あっはっは、おかしいー!
村長が住んでた世界でのサキュバス・インキュバス族ってそんなイメージで描かれているんですね、あっはっは!」
すごい笑われてるので恥ずかしくなる……そこまで笑わなくてもいいじゃないか。
悪夢を食べてくれる種族なんて思わないだろ、すっごい恥ずかしい思いをしたじゃないか。
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