第194話 新しい鉱物で部品を作った後、商店街の改造について話し合った。

人間領からもらった土地を使えるようにした次の日、俺は朝起きて軽い運動を取って家族で朝食へ。


「俺はこの後カタリナとクリーンエネルギー機構の研究所に行って、頼まれてたものを作ってくる。

 メアリーとウーテは話し合いをすると他の種族の長に声をかけておいてくれ。」


「分かりました。」


「分かったわ。」


その後研究所に行ってカタリナにどの部品を作ればいいか聞く、そこそこな枚数の図面を持ってこられたので目を通す……結構複雑な形をしたものが多いな。


どう組み合わさって動くかは分からないが、必要とするなら作る。


「材質は硬ければ何でもいいのか?」


「そうね、重すぎない固いものなら大丈夫だと思うわ。」


何がいいだろう、鉄は重いし……アルミニウムがあればいいんだけど。


確か原料はボーキサイトだったよな、ダンジョンから生成したらドワーフ族が何とかしてくれるだろうか?


「ちょっとダンジョンに行ってくる、そんなに時間はかからないだろうから。」


そう言って研究所を出てダンジョンへ向かい、ダンジョンコアにボーキサイトを採掘出来るようにしてくれと頼んだ。


そういえばメアリーはまだダンジョンコアを使ってないのだろうか、使うタイミングが無いのかまだ何か考えているのか。


ふとそんな事を思い出しながらダンジョンへ入り、シュテフィを探す……あ、居た。


「シュテフィ、今新しい鉱物を採掘出来るようにしたんだが今少し欲しいんだ。

 ノームにお願いしてある程度の量採掘してもらえないか?」


「分かったわ、その鉱物は今後も使うかしら?」


「あったら便利だから使うと思うぞ。」


「分かったわ、それなら採掘の時に仕分けてドワーフ族へ届けておくから。」


古代吸血鬼が採掘の重鎮みたいになっている、本人も嫌々している風ではないし表情も生き生きしているから満足しているのだろう。


俺としては早くはく製が見たいんだが、今の生活が楽しくてしなくなったのだろうか。


今度時間がある時に聞いてみよう。


シュテフィがノームと会話をして、ついていくとこの壁の向こうにボーキサイトがそこそこな量固まっているらしい。


近くに居たアラクネ族に頼んで採掘してもらう、すると出るわ出るわ……瞬く間に荷車いっぱいのボーキサイトが採掘された。


「いつもこんなに鉱物が獲れるのか?」


「小さい鉱脈を掘っても効率悪いでしょ、ノームに頼むと大きな鉱脈を見つけてくれるから大体これくらいの量は最低でも採れるわね。

 それに一晩経てばダンジョンは元の状態に戻るから、鉱脈の配置は無作為だけど。」


「そうだったのか……俺が配置したのに知らなかったよ。」


いくら鉄やオレイカルコスを使っても枯渇しない理由が分かった、それにある程度広げたり掘ったりするとダンジョンがリセットされるみたいだな。


そこまで便利とは思ってなかった、本来は無理矢理突破するのを防ぐためのシステムなんだろうが村にとってはプラスにしか働いてない。


ダンジョンコアも説明してくれたらよかったのに、この世界の概念的な存在はどいつもこいつも説明不足だ。


「それじゃ、残りと今後採掘出来たものはドワーフ族に渡すことにするわ。」


「あぁ、よろしく頼むぞ。」


俺は荷車に積んだボーキサイトをアラクネ族に研究所まで運んでもらい、想像錬金術イマジンアルケミーでアルミニウムを錬成。


かなり量が減ったな……4分の1くらいになったか?


だがこれだけあれば部品は作れるだろう、俺はカタリナに再度図面を見せてもらい1つずつ錬成していく。


アルミニウムもギリギリ足りて良かった。


「これで全部か?」


「えぇ、これで全部よ。

 しかしこれ見たことない金属ね……。」


「もしかしたらこの世界にあるかもしれないが、必要としてなかったからダンジョンに生成をお願いしてなかったからな。

 この金属の名前はアルミニウム、さっきダンジョンコアに頼んで原料を採掘出来るようにしたから、今後使えるようになると思うぞ。」


「つくづく便利だわこの村……。」


俺もそう思う、というか想像錬金術イマジンアルケミーと同じくらいダンジョンコアが便利すぎるんだよ。


あれを早めに確保出来てなかったら村の開発はもっと遅れていただろうな。


それにドワーフ族やミノタウロス族を村に誘致出来てない可能性もある、そう考えると本当に確保出来てよかった。


外を見ると陽がかなり上まで来ている、もしかしたら話し合いの為にもう皆集まってるかもしれない。


俺は頼まれていたことを終えたので「無理せず頑張ってくれよ。」とカタリナに伝えて、研究所を後にして広場へ向かう。


皆急に召集をかけても普通に集まってくれるからな、待たせてしまっているかもしれない。




少し急いで広場に行くと案の定既に皆が集まっていた、どうやら俺が最後みたいだ。


「すまん、待たせたな。」


俺はメアリーとウーテの間にある空いた席に座る、メアリーから「皆も今集まったところですから大丈夫ですよ。」と言ってくれた。


「先日話し合いをしたのに、今日はどんな内容なの?」


「今日は商店街の改造についてだ、人間領も商店街に出店したいらしくてな。」


俺が話し合いの内容を説明する、それを聞いた女性陣とドワーフ族が「ホント!?」とものすごい食いついてきた。


「人間領には玻璃という有益で綺麗な石や特徴的な衣服があったから楽しみね。」


恐らく一番しっかりと人間領を観光したシモーネが嬉しそうだ、俺は施設がメインだったからそれほどちゃんとした観光は出来てない。


「キチジロウからどんなものが売れるか目録を貰っているから、目を通してくれ。」


机の中央に目録を置くと食い入るように全員がそれを見始めた、普段はあまりそういうのに興味を示さない男性陣も少し気になるのか少し覗いてる。


力のあるシモーネが評価したことで気になったのだろう、実際美味しい物が多かったし技術もこの村には無いものがあった。


皆あれこれと様々なものを選んでいる、主に作物・調味料・衣服類だ。


魔族領と同じようなものが選ばれているが、魔族領と文化が違うから作られている物も違う。


だが文化が違うので違うものが手に入る、村だけでは作れない物もあるだろうしこういう交易は進んでやっていきたい。


俺の感覚で言うなら魔族領は洋風、人間領は和風だ。


だが技術に関しては誰も触れない……どうしたのだろうか。


理由を聞いてみると「特に必要に感じない。」とのこと、村の特産品を作ることに集中したいみたいだ。


まぁ技術なんかは交易で交換していきたいし、商店街で買うのは何か違うか。


ある程度欲しい物が決まったところで商店街の改造の説明をする。


だが上手く分かってくれない、俺の説明が悪いのだろうか……1つの建物に様々な店が沢山入っている施設とちゃんと言ったんだが。


誰も見たことないから想像出来ないのだろう、どういったものかは分かっているみたいだが。


「開様、理由を説明して数日商店街を閉めて完成したものを見せてみては?」


メアリーがもっともな意見を提案してくれた、確かにそれが一番早いかもしれないな。


「じゃあ今日の商店街で少し閉店させてもらおう、その間行商には村に滞在してもらえば問題無いと思う。

 それで大丈夫だろうか?」


皆に意見を聞くと全員賛成だ、楽しみにしてくれているみたいだし嬉しいな。


商店街への話はマーメイド族がしてくれるらしい、よろしく頼むぞ。


話し合いの終了間際にオスカーやシモーネに人間領とドラゴン族の交流図ってほしいと提案。


一族と話し合って何か案を考えてくれるそうだ、流石にこればっかりはドラゴン族に任せるしかないので一任することに。


さて、俺は流澪のところに行ってレイアウトとかどうすればいいか聞かなければ。

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