第165話 2種族が村へ移住する前に村の大改造をした。
メアリー達がラミア族とハーピー族の争いを止めるために村を発った次の日。
前に話し合いで決まったように魔族領へ向かって村の敷地を広げていく、
ちょっとしたことだが自分の成長が嬉しい。
整地して壁を広げた段階でミノタウロス族とケンタウロス族が住居に使う資材を運んでもらう、こうしておくと移住してきた時すぐに対応出来る。
前もって分かっていると準備がしやすくていいな、とりあえず他の種族と同じくらいの面積を確保してるしこれでいいだろう。
「村長、この間言ってた商店街のような施設のレイアウトの図面が出来たわ。
ダークエルフ族や村の女性達と話し合って決めた自信作よ。」
整地を終えて家に帰ろうとしているとカタリナから声をかけられた、商店街の図面が出来たらしいので受け取って確認。
感想としては前の世界にもあったアーケード街、魔族領の商店街にはない雨避けの屋根があるのは非常に良い案だと思う。
それに屋根もガラスで日中の明るさも確保、店には軒先とランプが設置されているので天気が悪くてもじっくりと商品を見ることが可能だ。
ただ問題が一つ。
「かなり店を置くスペースが多いが、村だけでこんなに店を確保する必要は無いと思うんだけど。」
店の数が多すぎる、図面を見る限り30店舗くらいが入れるんだよな。
「今後増えることを考えているのと、行商の人に貸出をしようって話になって。
そこに行けば村で食べる以外の買い物を出来る場所だから、行商の人は逐一営業をかけなくて済むし、村には貸出料が入るじゃない?
それに行商の人が居るなら村の人も利用するでしょ、いい案だと思うのよね。」
理由を聞くとかなりいい案だ、そこまで考えているとは思わなかったぞ。
「分かった、この案を採用するよ。
しかしこの規模の商店街を設置するとなると、場所に迷うよな……ここまで広くて立地のいい場所は空いてないぞ。」
「そこで村長の出番よ、これを建ててもらうのも村長なんだけど。
前に居住区を移動させれるかどうかって話になったじゃない、居住区スペースと施設スペースをきっちり分けて村を再構成出来ないかしら?
今はそこがいいだろうっていう感じで配置が乱雑になってるイメージがあるし。」
なるほどな、確かに今後の事を考えればそうしたほうがいいかもしれない。
だがそのレイアウトを考えるのが大変だぞ、この村の住民に限ってそんなことはないかもしれないが……施設までの距離が遠いと文句が出る可能性だってある。
「それも一応考えてるのよ、商店街よりこっちのほうに時間を取られてたわね……。」
そう言いながらカタリナがもう一枚の図面を俺に渡す、それを見るときっちりと区画分けされた村が描かれていた。
魔族領側に外から来る人のための施設が固められ、その反対側に村の住民の居住区――俺の家はその最奥だ。
その中間には広場と食堂・工房・田畑・倉庫が来るようになっている、この配置はこれがベストだろうな。
村の形もだいぶ変わるが、これは非常に村の拡張がしやすい。
移住する住民が増えたら居住区側を、新しい施設は魔族領側を整地すればいい。
はっきりと整地する場所を決めれるのは非常にいい案だ、現状の村の拓き方だと新しい住民とはどんどん離れていってしまうからな。
だがこれにも問題が。
「村の住民が食堂を始め施設を利用しづらいんじゃないか?
結構な距離が離れているし、後各方面の警備の移動が大変になってしまう。」
「その図面の所々に2つ1組の印があるでしょ、同じ形の印に線が引いてあるのがそうなんだけど。
それはミハエルに設置してもらう転移魔術の魔法陣よ、村の住民はそれを利用して移動を短縮出来るようにしてるわ。」
魔族領きっての秘術がこんな村の時短に使われるとは……魔族領王族の先祖はそんなこと微塵も考えてなかっただろうな。
だがいい案なのでこの村では採用、この村では生活の利便性が最重要事項だ。
「分かった、これは大々的な工事が必要だな……それにメアリー達が対応しているラミア族とハーピー族が混乱しないためにも今のうちに対応する必要がある。
村の皆を集めてくれないか、それと魔族領から来ている人達には一時広場へ退避を促してくれ。
俺はこの図面に沿って整地をしてくるから。」
「分かったわ、まさかこんな早くするなんて思ってなかったから準備してなかったけど2種族の為にも必要よね。」
カタリナは急ぎ足で他の住民に声をかけに行った、俺も整地頑張らないとな……久々にポーションを多めに持っておくか。
図面通りに村の整地を行う、門の警備も今は居ないのでドラゴン族にはいつもの倍の人数で空の哨戒をしてもらっている。
「村の大改造なんて楽しみですね、図面を見ましたがいい感じだと思いますよ!」
「食堂と工房が動かなくていいのは助かるの、ダンジョンがあるから不安だったんじゃ。」
「これまでより過ごしやすくなるかしら?」
村の住民の様々な声が聞こえる、俺が思うに今よりすごく暮らしやすいと思うぞ。
何せ転移魔術で移動を最小限、歩きたければ歩けばいいし施設が固まっているから利便性は間違いなく向上している。
「さて、整地はこれで終わりだな。
次は居住区の移設をするぞ、皆大事なものは持ち出しているな?」
「「「「「大丈夫です!」」」」」
俺が作ったものだから大丈夫だとは思うが、万が一
俺はポーションを飲みながら住居を図面通りにどんどん移設、時折ポーションを飲みながら。
居住区の移設は
通りでお腹が空くわけだよ、いったん休憩がてら食事にしようか。
「さすが村長ですね、あのような神のごとき御業で村を半日足らずで大改造してしまうとは!」
食事が終わって魔族領から来ている人から声をかけられる、確かに自分でもすごいと思うが……これを考えてくれたのは村の住民なのでそっちのほうがすごい。
俺はあくまで個人で有している能力を使っただけだからな、ドラゴン族がその力で魔物を討伐するのと変わらないと思う。
その後俺は現状村にある施設を移設し、商店街をついでに錬成。
「ふぅー……これで一応終わりかな。
マーメイド族が移動するための水路の繋がりも問題無さそうだし、後は実際に暮らしてもらって声を拾っていくとしようか。」
「お疲れ様、まさか1日で済ますとは思ってなかったわ……。」
カタリナが呆れた顔で俺を見てくる、もう少し労ってくれてもいいんだぞ?
「これからお店の準備に、村に来ている行商と魔族領の商人ギルドへの声掛けと仕事が山積みになったもの……。
村長も疲れただろうけど、私は明日から疲れることになるわ。」
俺も明日そっちを手伝うよと言うと「なら行商へ声掛けをお願い出来るかしら。」と言われたので明日からそちらに回ることにする。
久々こんなに
俺は自分で肩を揉みながら帰っていると、ミハエルが魔法陣を書いているのが見えた。
「話には聞いてたけどこんなに魔法陣描かなきゃダメなんて思ってなかった……私もしんどい。」
「もう日も落ちてきてるし、ある程度で切り上げるんだぞ?」
「明日は明日で予定があるのよ……。」
うん……見切り発車で村を改造してごめんな?
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