第154話 リザードマン族が村に移住した。

カタリナがキュウビとリザードマン族の所へ向かって3日が経った、往復と里の対応を考えると早ければ今日帰ってくるくらいか?


村では既にリザードマン族が移住してくるだろうという予想して準備が進められている、俺も居住区を作るために村の面積を増やした。


もし移住しなくても何かに使えるだろうし広げておいて損はない、もし移住しなければ魔族領から交流に来ている人がメインに使う施設を作ってもいいかもな。


今作ってもいいと思っているのは商店街、魔族領のような立派なものじゃなくてもいいので村で売ってるものがそこに行けば全て買うことが出来る場所はあったら便利じゃないかなと思っている。


今買い物をするには欲しいものを売っている種族の居住区まで歩かなければならない、村もだいぶ広くなったので端から端まで移動するのは結構な時間がかかるからな。


今のところそういった声を聞いたことはないが、村でする話し合いで意見を出してみてもいいかもしれない。


人手の問題があるかもしれないが、別に直接作った種族が売らなくても手の空いている種族が店頭に立てば問題無いだろう。


おっと、面積を広げたはいいが高低差が結構あるな……平地にしておこう。


そう思い想像錬金術イマジンアルケミーを発動させると、少し離れた上空から驚いたような叫び声が聞こえる。


何だろうと思い声の方向を見上げるとドラゴン族が飛んでいるのが目視出来た、カタリナ達が帰って来たか。


驚いた声がしたということはリザードマン族も乗っているだろう、やっぱり移住してきたか。




「何だ、あの空き地が一瞬でまっ平になったが何が起きた!?」


「移動中に説明したでしょ、あれが村長の能力よ。

 素材があれば大体何でも作れる、今は平原を作ろうと思って作ったんでしょ。」


その通りだ、かなり簡潔に説明をしてくれてありがとう。


「しかし、そんな神のような能力がこの世にあると思わないだろ……何を世迷言をと思っていたのに。」


「それは俺から説明しよう。

俺は開 拓志、この村の村長をしているれっきとした人間だ……元は異世界の住民で神にこの世界へ転移させられた以外はな。

その時に、今リザードマン族が見た想像錬金術イマジンアルケミーというスキルを神からもらってな――それを村のために使って今この村があるというわけだ。」


説明しても、こいつは何を言っているんだという顔をされて固まっている……気絶しているわけじゃないからまだいいけどな。


「村長、気絶しなくてよかったとか思ってるでしょ。

 そこを平地にしたとき、数人ビックリしすぎてドラゴン族の背から落ちそうになってるんだからね。」


カタリナに少し怒られた、帰ってきてるとは思わなくて……ちょうど哨戒をしていたドラゴン族も居たし分からなかったんだよ。


とにかくどういう家がいいか聞いて建てなければ、人数も想定していたくらいだしこの広さで充分足りそうだな。


「あ、そうだ。

 一応聞いておくけどリザードマン族がキュウビを襲った罪はどうする?

 理由としては困窮していてキュウビの食糧を狙ったみたいだけど。」


「その様子だとキュウビは無事だろ、それに異形の者を単身で討伐出来る実力者がそうそう傷つけられるとも思ってない。

 反省は行動で示してもらうさ、理由も悪い事とは言え仕方ないし仕事をきっちりとこなしてくれれば特に何もするつもりはないぞ。」


「ほらね、不問だったでしょ?」と、カタリナがリザードマン族にドヤ顔で言った……想像通りだったのだろう。


リザードマン族も呆気に取られて口をパクパクさせている、こういうゆるい村だから追々慣れてくれよ。


家の構造の希望を聞くと他の種族が住んでいるようなもので問題ないらしい、世帯数は40程度らしいので余裕を持って50棟ほど家を作った。


空から想像錬金術イマジンアルケミーを見てるから平気だろうと思い、あらかじめ運んでいた資材を使って作ったんだが……やはり遠目で見るのと近くで見るのは違うらしいな。


半数以上が気絶したよ、さてどうするかと思っていると後ろからプラインエルフ族とケンタウロス族が出てきて気絶者の対応を始める。


「いつもの事ですから。」


こっちは対応に慣れ過ぎているな。




着替えやタオルなんかを運び終え、村のルールを説明。


概ね理解してくれたらしく、特に不満も無いとのことなので無事今日から村の住民となった。


「今日からよろしくな。

 住民となったし仕事をしてもらいたいんだが、リザードマン族が得意なことはあるか?」


「強いて言うならば戦闘だろうか……男女問わずこの辺の魔物には負けないだろう。

ドラゴン族やキュウビという者なんかには敵わないが。」


そのあたりにを引き合いに出すのは流石に無理だ、あの辺は規格外だろう。


「それならウェアウルフ族と仕事を共有して警備なんかについてもらおう。

 魔族領の仕事もあるし、頭数はいればいるほどありがたいはずだからな……戦闘をする人たちはあそこの鍛錬所を使って日々鍛えているから、リザードマン族も利用するといい。

 ウェアウルフ族には俺から話しておく、今日は家でゆっくりしてくれていいぞ。

 腹が減ったらあっちの食堂に行けば食事を出してくれるから。」


「何から何まで済まない……微力ではあると思うがこれから村のためにリザードマン族は力を振るおう。

 驚いてばかりで自己紹介が遅れていた、私はリザードマン族の戦士のインゴだ。

 長は別に居るのだが、力が一番あるのが私という事でリザードマン族は私が纏めている。」


長が居るのに力があるインゴが纏めるのか、何か理由があるのか分からないが話さないという事は話しにくいのだろう。


いずれ知るだろうし今無理をして聞かなくてもいいだろう、まずは村に慣れることが先決だし。


インゴと別れて俺はローガーの所へ行き、リザードマン族と仕事を共有してくれと伝える。


ローガーは是非ともと喜んでくれた、やはり人手が徐々に足りなくなってきていたのだろう……ここ最近はミノタウロス族が警備に立つこともちらほらあったし。


「とりあえず鍛錬所で軽く手合わせをするとしよう。

 まずは力量が分からないとどこに配置すればいいかも分からない。」


力量に関してはもう分からないので任せることにする、たまに鍛錬所も覗くが動きがまず見えないし。


ちらっと遠距離戦闘をするケンタウロス族やメアリーも目に入るが、的のど真ん中にしか当たってない。


最近はダーツのように点数を付けて弓の練習をしているみたいだが、全員同じスコアっておかしくないか?


この村の住民の戦闘基準値が高すぎる、果たしてリザードマン族は付いていくことが出来るのだろうか……ちょっと不安になって来たな。




「村長、この村の住民は全員ああも強いのか?」


ボロボロになったインゴと他のリザードマン族が俺に相談に来た、やっぱりそうなるだろうな。


「いや、多分この村はドラゴン族がけん引して鍛えているから戦闘能力がずば抜けているだけだ……戦わない種族はそんなことないから安心してくれ。」


「ウェアウルフ族のローガー殿からは警備に入るよう言われたが、そこに立っているウェアウルフ族もあのような戦闘能力なら私たちは必要なのかどうか不安になるぞ……。」


「警備に付いてない人達は鍛錬所に通って鍛えればいい、今のところローガーから振られた仕事以外は考えてないから大丈夫だぞ。

 いずれは魔族領にも行ってもらう事になるだろうが、魔族領の魔物は未開の地より弱いから問題無いだろうし。」


「うぅむ……これも慣れるしかないのか。」


そうだな、しばらく辛い期間が続くかもしれないが頑張ってくれ。


その後「村長は如何程のものか、手合わせしてほしい。」と言われたが俺は想像錬金術イマジンアルケミー以外何も出来ないので丁重に断った。


多分ダンジョンにうろついてる豚に負ける自信がある、だって生きてる動物にすら勝てるビジョンが浮かばなくて怖いし。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る