第84話 プールとウォータースライダーが完成した。
ダンジョンから石油が出るようにして3日、かなりの量の石油を確保することが出来た。
ポンプは技術が無いので、ミノタウロス族がドラム缶で直接すくってそのまま運んで行っている、ワイルド過ぎるぞ。
俺はドラム缶をどんどん作りミノタウロス族に持っていってもらっている。
保管場所は鉄で作った肌寒くて適度に湿度がある倉庫へ、プラインエルフ族の生活魔法でここまで出来るとは思わなかったが。
火気厳禁の標識も作り、ほぼ暗室なので夜目の利くウェアウルフ族か昼間にしか入ることが出来なくなった。
ドラゴン族は入っちゃダメだと言うと、少ししょげていた……ごめんな。
魔族領ではランプとかを見たから、油を扱う技術があるのかもしれない……今度技術者を紹介してもらおう。
もしかしたら
俺はドラム缶をいくつか運び出してもらい、ウォータースライダーを思い浮かべる……お、出来そうだな。
廃油や残油なんかは処理の仕方も使用用途も分からないので、余った素材は全て消すことにする。
もし必要になればまた汲み上げてきたらいいし。
幸い汲み上げ続けなくてもあふれ出すことはないみたいなので安心はしている、一体どういう原理なんだろうな。
ダンジョンコアが上手くやってくれたのだろうと信じることにする、もし何か不都合が発生したり溢れてきたりしたら消してもらえばいいだけだ。
前の世界の遊泳施設なんかでよく見たウォータースライダーをプールの脇に設置、すると近くに居た子どもの目がキラキラ光り出した。
まだ遊んじゃダメだぞ。
ちなみにケンタウロス族の子どもも滑れるよう横幅はかなり広めに取ってある、横を向けば滑れるはずだ。
念のためプールとウォータースライダーの最終チェックを行う、もし何か不備があって溺れたりしたら大変だからな。
ちなみに排水口の蓋はオレイカルコス製、錆びないし劣化もしないからこういう場面でも役に立つ。
大きめのウォータースライダーやプールが設置されて、物珍しさに住民も村に訪れている魔族も続々と集まってきているな、今集まっても何も無いぞ。
「村長、これは何ですか?」
「陽の季節は暑いだろう?
これは水浴びをしたり泳いだりして遊ぶ施設だ、あの大きいのは水を流して子どもが滑ってプールに着水する滑り台だな。」
冒険者の魔族は「これは骨を休めるのにちょうど良さそうだな、使えるようになったら来よう。」とプールを眺めながら歩いていった。
案外受けが良さそうで安心したよ、お風呂がつい最近までなかった文化だから露天風呂みたいな雰囲気を受けるかどうか不安だったんだ。
最終チェックも終わったので、ウーテにお願いしてプールとウォータースライダーに水を張ってもらう。
よしよし、排水も含めて全て上手く機能しているな。
「さて、これで今日からでも遊べるぞ。
記念すべきウォータースライダー利用者第一号は誰がいい?」
そこそこに人が集まっていたので少し大きめの声で皆に聞いてみた。
「「「「「村長でしょ?」」」」」
俺?
これ子どもにと思って作ったんだけど、一番は子どものほうがいいんじゃないのか?
ほら、子どもが目をキラキラさせて俺を見ているじゃないか――一番がいいんだろ?
「そんちょーすべってるのみせてー!」
子どもまで俺に一番を!?
仕方ない……主な利用者である子どもから頼まれたら滑るしかないな。
あ、でもこの世界に水着なんてないぞ……石油から作れたりしないだろうか。
「もう少し待っててくれ、着替えを取ってくるから。」
そう言ってその場を離れ、石油貯蔵庫に。
水着を思い浮かべると石油が光った、ポリエステルか何かだったのかな。
俺に合うサイズの水着を錬成し、それに着替えてウォータースライダーの前に再登場。
「よし、じゃあ皆の要望に応えて滑るぞ。
一応俺が着てるような水遊び用の服も用意出来るから、もし欲しかったら言ってくれ。」
そう言いながら階段を上り、ウォータースライダーのてっぺんへ。
……結構怖いな?
我ながら高く作りすぎたかもしれない、手すりとかは俺の頭くらいまであるから事故はないだろうけど。
「そんちょーはやくー!」
子どもが急かしてくる、分かったよ行くよ!
意を決してウォータースライダーを滑り始める、結構速いぞこれ!
「うぉぉぉぉ……!」
コースに沿って結構なスピードで滑っていく俺、多分今ものすごい変な顔だぞ。
そしてそのままプールへバッシャァァァァと大きな水しぶきと共に着水。
これ子どもたちは大丈夫か……かなり怖かったんだけど。
「すげーおもしろそー!
ぼくもやるー!」
子どもが親を連れてどんどんウォータースライダーへ向かっていく、怖い物無しだな!
大人たちも興味を持ったのか並んでいる、俺でも滑れたからケンタウロス族とミノタウロス族の大人以外は滑れると思うぞ。
その2種族は何か欲しいものがあれば言ってくれたら別途用意するから、ウォータースライダーは我慢してくれ。
俺が滑ったのを皮切りに、老若男女問わずどんどん滑って楽しんでいる……誰も水着を着ずに。
よってかなり肌色な空間が生まれてしまっている、大丈夫なのかこれ。
「男女どちらも自分の魅力を見せつけれるいい場なんじゃないでしょうか。
子どもを持つ女性はきちんと肌を隠していますし、大丈夫だと思いますよ?」
騒ぎが気になったのか、タイガに乗ったメアリーがプールまで来ていた。
夫婦の契りを交わしている女性は肌を隠してるんだな、そうやって見分けるのか。
「こういう場があれば結ばれる夫婦も子どもも増えて、村の将来も安泰ですね。
魔族の方も村の住民と結ばれるかもしれませんよ?」
それは当人同士の判断に任せるさ、既にドワーフ族とくっついてる魔族も居ることだし。
「ここまで活性化した村ならどんどん施設を作って満足度を上げていくべきでしょう。
もちろん、外部から一時的に来られてる方からは対価を支払っていただいてですけどね。」
使わないお金が村に溜まっていきそうだな、魔族領に返還するのも変な話だし……現金をこちらに流しすぎても貨幣価値が変わってしまって混乱してしまう。
そうだ、前に話していた神の信仰の件はどうなったんだろうか。
魔族領の土木関係の人が落ち着いたら、村で稼いだお金を使って教会のような施設を建ててもいいかもしれない。
それと石油を扱う技術者とだな……よし、当面はその2つの方向で使っていくことにしようか。
俺がそう考えていると、タイガに背中を引っ張られた。
「いてて、どうしたんだタイガ。
お前力強いんだから……ってメアリー!?」
引っ張られて振り向くと、体中から汗をダラダラ流しながら苦しそうにうずくまるメアリーの姿があった。
「誰か、妊婦や出産に詳しい人を呼んでくれ!」
俺は大声で住民と来客に呼びかける、少しすると助産師の経験のある人と経産婦の方が来てくれた。
「予定日より少し早いけど、子どもが生まれるかもしれないから村長の家に連れて行くわよ。
力自慢の男たち、メアリーさんを村長の家に運んどくれ!」
そうしてメアリーは手際よく俺の家へ運ばれていった、母子ともに無事で居てくれよ……!
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