第30話 ダンジョンコアが便利すぎた。

ダンジョンコアを錬成し、来た道を戻る。


魔物も襲ってこないことがわかってるし、後続のケンタウロス族が帰り道の目印を付けていてくれてたので1日経たずに帰還出来た。


村に着き、留守番してくれていた住人とウーテから歓迎を受ける。


戦利品は特にないが。


ダンジョン攻略メンバーで食事を取り、各々今日と明日はゆっくり休むよう指示。


俺・メアリー・ラウラ・デニス・ローガー・ハインツ・ドラゴン族は俺の家に集まりダンジョンコアについて話し合いをすることに。


「さて、内容の確認だ。

 グレースディアーは決定、他に発生させたほうがいい魔物はいるか?」


「リーズィヒエーバーは居てもいいと思います。

 森ならともかくダンジョンで見かけても直線的なので対応は楽かと。」


リーズィヒエーバー?


「開様がイノシシと言ってた魔物ですね、あれも美味しいので賛成です。」


あいつそんな名前だったのか。


イノシシでいいや、覚えにくいし。


対応が楽なら決定。


「オークは居てもいいんじゃないか?」


まぁ居すぎると被害が出るかもしれないし、ダンジョンに居なくてもいい気もする。


そのへんでたくさん獲れるからな。


一旦保留で。


「他に食べれる魔物は居るのか?」


「あの大きな蛇は食べれましたが、名前がわからないですし危険ですねぇ……。」


「ストーンカはどうだ?

 美味いぞ、あれは。」


オスカーが新しい魔物の名前を出した。


美味いならいいんじゃないか?


「無理です!

 ストーンカなんて見た瞬間に逃げ一択レベルの魔物ですよ!?」


メアリーが真っ向から否定する。


他の皆も頷いている、そんな危険なのか。


なら却下で。


「ストーンカってどんな魔物なんだ?」


聞いたことない名前なので質問する。


「ミノタウロス族が理性を捨てて、ドラゴン族並の肉体戦闘力と防御力を兼ね備えた魔物ですよ。」


うん、無理。


「むぅ……美味いのだがな。」


美味くてもダメだ。


しかし牛みたいな魔物なんだな。


牛、食べたいぞ。


畜産で飼っている牛はまだ食べるには早いらしいし。


繁殖の兼ね合いもあるからな。


魔物が発生させれるなら、動物も可能なんじゃないか?


思いついたので、ダンジョンコアを起動して確かめていいか聞いてみよう。


「ちょっと気になることが出来たんだが、ダンジョンコアを起動していいか?

 もしキャンセルしたり出来なかったらグレースディアーとイノシシだけにするから。」


皆が頷き、同意を得る。


ダンジョンコアを起動すると、頭の中に何かが話しかけてきた。


『えっ、人間がダンジョンコアを起動!?』


しゃべれるのか?


『オークに起動させられて数年経ってたのに……つい最近気を失って……あれ?』


気を失ったのは俺が錬成したからだな。


というか、意思があるんだな。


「ダンジョンコア、しゃべれるみたいだ。

 ちょっと頭の中で意思疎通してくる。」


「「「「「は???」」」」」


その素っ頓狂な声、最初俺も出してたな。


懐かしい。


だが今はダンジョンコアとの意思疎通が優先だ。


『俺は開 拓志。

 オークからダンジョンコアを奪い、神からもらったスキルで錬成して俺を所有者にした。』


『なにそれ!?

 そんなこと出来るの!?』


『あぁ、出来たみたいだ。

 だから俺の思う通りにダンジョンを作りたいんだが、大丈夫か?』


話が出来るならやりやすいはずだ、安全なダンジョンを作りたいからな。


『安全に食料が狩れるダンジョンを作りたいんだ。

 グレースディアーや家畜動物だけを発生させることは可能か?』


『グレースディアーはともかく、牛とか羊を発生させるってこと?

 可能だけど、そんなのじゃすぐ突破されて意味が無くなるよ?』


『俺の村の中に作るから、侵入者は俺の村の住人だけだ。

 ダンジョンコアを破壊することはまずない。』


『それなら大丈夫。

 スタンピードの頻度と、アイテムや鉱石はどうするの?』


……至れり尽くせりだな。


まぁダンジョンだし、誘惑するものを置いて相手を招き入れて奪うって感じなんだろうな。


『ちょっと待ってくれ、相談してくる。』


『はいはーい。』


「うん、グレースディアーと家畜動物のみは可能だ。

 スタンピードも恐らく起こさないことが出来る。

 アイテムと鉱石はどうするか、と聞かれたんだが候補はあるか?」


皆に意見を仰ぐと、素っ頓狂な声を出した表情のまま固まってた。


「ダンジョンコア、そこまで便利だったんですね……。」


「他の魔物を心配しなくていいのはすごくいいです。」


「自分が望むものを自由に発生させれるのはすごすぎる……。」


「「グレースディアー食べ放題……!」」


「鉄だけじゃなく他の鉱石があれば皆喜んでこっちに来るのぉ。」


「「狩り部隊もより安全に!」」


2人ほど欲望に忠実だったな。


鉄は当然として、他の鉱石は何があるんだろうな。


「ほとんどのものは加工出来ると思うぞい、ドワーフ族の鉱夫は目利きが多いから好きにして大丈夫じゃ。」


鉄を筆頭に、武器や防具に使えそうなものを頼むか。


「わかった、じゃあまたダンジョンコアと話してくるよ。」


『ダンジョンコア、ある程度話がまとまった。

 グレースディアーと食用の家畜、鉄と武器や防具に有用性のある鉱石を頼む。

 あと、スタンピードは一切起きないように。』


『わかったー、それじゃ君が思うダンジョンに出てほしいものを頭に思い浮かべてよ。

 それを読み取ってダンジョンに反映させるから。』


想像錬金術イマジンアルケミーと同じ感じか。


なら前の世界で有名だったブランド物の家畜と、ゲームで見た強い武器や防具に使われてた鉱石がいいよな。


後はポーションの素材など、便利なものを思い浮かべる。


そうこうしていると、ダンジョンコアがそれらを読み取ったのか色々言ってる。


『大体出来たよー、後はダンジョンの入り口にする場所にボクを置けば勝手にダンジョンが出来るから。

 地面に置けば地下に、壁に置けばその場所が入り口になるからね。』


なるほど、洞窟はダンジョンが作ってくれるんだな。


『わかった、場所を決めて置くことにするよ。』


『それじゃボクは寝てるから、破壊されないことを祈ってるよ。』


そう言ってダンジョンコアは黙ってしまった。


「よし、安全が約束された狩場と鉱脈を確保出来たぞ。

 後は設置すれば勝手にダンジョンが出来る。」


「「「「「おぉぉー………!」」」」」


皆が凄く見てくる。


「場所はどこがいいかな、どこにでも出来るみたいだし。」


「食堂裏が一番じゃないでしょうか、食料確保がメインですから。」


それもそうだな、決定。


これでドワーフ族も移動してくるだろうし、食堂の近くにドワーフ族の居住区も作ればいいな。


「よし、それじゃあ設置してくるよ。

 これで解散、ゆっくり休んでくれ。」




俺はダンジョンを設置してから休もうと思い、食堂裏へ。


設置したら食堂で少し酒を飲んで休むか。


『そうそう、言い忘れたことがあるんだ。』


設置しようとした矢先、ダンジョンコアが話しかけてくる。


『どうしたんだ?』


『知性のない魔物には無用な情報だけど、君には必要だと思うから伝えておくね。

ダンジョンの敵やアイテムの追加、修正はいくらでも出来るからね。』


『は???』


俺も頭の中で久しぶりに素っ頓狂な声を出してしまった。

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