第14話 村っぽくなったと思ったらトラブルだ。
氷の季節も大分近くなってきた。
この前の話し合いの要望はすべて作り終えて、みんな仕事をしてくれている。
ケンタウロス族は、狩りと交易の時に武器がほしいということで弓を作った。
壁も全体を囲うように土壁を3mくらいの高さで。
森側へ抜ける道を2か所、平原側を1か所に門を作って通れるようにした。
うん、大分村っぽくなったかな?
俺は畑の拡張をしている、肉以外の食糧は俺の仕事だからな。
メアリーには村の見回りを頼んでいる。
ラウラはドワーフ族の手伝い。
そこへケンタウロス族が1人、こちらへ来た。
「開様、お召し物をお作りしたいのでお体の寸法を測ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ、構わないぞ。」
そう言うと手際よく体のサイズを測っていく。
オーダーメイドみたいでちょっと嬉しい。
「終わりました、お手数をおかけしました。」
「こちらこそありがとう、服楽しみにしてるよ。」
「はいっ!
開様のお召し物は最優先で最速でお作りします!」
必要な人のものから作ってあげてほしい。
伝えようとしたがすごい速度で走って行ってしまった。
まぁいいか。
そこへメアリーがこちらへ来た。
「開様、警備をしてるウェアウルフ族から要望です。
槍などの武器が欲しいとのことでした。」
「えっ、ウェアウルフ族って武器を扱えるのか?
タイガみたいに自分の力で戦うものだと……それは失敗したな。」
「戦えますが、武器の有無で生存率も上がりますし威嚇にもなりますからね。」
「用意したいが、鉄がないからな……。
デニスに伝えて、次の交易で交換してきてもらおう。」
「わかりました、デニスさんには伝えておきますね。」
「そうしてくれ、俺はウェアウルフ族にすぐに準備出来ないことと、気付かなかったことを謝ってくるよ。」
「ローガーさんが要望を出し忘れてるので、開様が謝る必要もないのでは?」
「新しく慣れないところに来て、一切の漏れを無く気づくのは難しいよ。
ローガーだけの責任じゃないさ。」
「開様は本当にお優しいですね。」
メアリーが笑顔でそう言うと、俺も少し照れてしまった。
笑顔がかわいい。
話し合いの場でハインツに夫婦と間違われて、少し変に意識してしまっている。
2つの果実のせいもあって、メアリーは魅力的な女性なのは間違いない。
だがまずは、ここのみんなと上手くやっていくことに集中しなきゃな。
ウェアウルフ族に謝りに行こう。
ウェアウルフ族に謝ると向こうからも謝られた。
すぐには必要ないとのことなので、鉄が手に入り次第すぐに作るということで解決。
交易係にはまたドワーフ族の里に行ってもらわないと、帰ってきたら労おう。
今のところ武器以外は問題無いかな?
もう少し時間が経てば足りないところが出てくるだろうから、現状は様子見。
俺は畑に戻り、拡張の続きをする。
予定では四方50メートルくらいの畑と、同じくらいの田んぼを作るつもりだ。
同じものをもう1つ作る予定だ、人手が確保できる時があれば一気に出来るからな。
作っておいて損はない。
するとデニスが酒とつまみを持ってこちらへ来た。
「開どの、ちょっと休憩でもどうだね。」
「あぁ、ありがとう。
いただくよ。」
俺は座って酒とつまみをもらう。
ビールと枝豆だ、さっぱりしてていい。
「一気に忙しくなったのう、頑張りすぎんようにの。」
「大丈夫だよ、みんな頼んだことをちゃんとやってくれてる。
俺は要望を聞いてそれに応えるだけさ。
そういえば、メアリーから次の交易で鉄を頼みたいことは聞いたか?」
「あぁ、聞いたぞい。
次の交易で持ってきてもらうよう手配しておくでの。
武器の修理も兼ねると一定量在庫を持っておいたほうがええかのう?」
確かに、そこまで考えてなかった。
材料が増えると作れるものが増えるからな、在庫を持ってても無駄ではない。
「そうだな、ある程度村でも量を確保しておこう。
多すぎない量を考えておいてくれ。。」
「わかったぞい、とりあえず300キロほど頼んでおくでの。」
鉄300キロってどのくらいなんだろう。
話をしてるとあっという間に酒もつまみもなくなった。
片付けはデニスがしておいてくれるらしい、ありがとう。
しかし鉄か、常時貯蔵しておくなら倉庫もいるよな。
なら鉄だけじゃなく、
鉄300キロを見て決めよう、どれくらいかわからないし。
さて、畑の拡張再開。
しばらくするとメアリーが戻ってきた。
特に何もないとのこと、一緒に畑の拡張をする。
まだ少し意識してしまうが、作業をしてると煩悩はどこかへ行く。
作業に集中してると、森の入り口を警備しているウェアウルフ族の声がした。
「みんなー!
ドラゴンが出たぞー!」
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