第12話 ローガーの決断にびっくりした。

朝になって運動をした後、デニスに植えたものを聞いて錬成で育てることに。


「デニスとメアリーは野菜と穀物の貯蔵庫を作っていてくれ。

 俺は野菜を育てた後に石窯を作るから。」


「あいわかった。」


「わかりました、開様。」


タイガは狩りへ、ラウラは索敵と掃除を頼む。


俺は野菜と穀物を育ててると、ローガーの目が点になって俺を見ていることに気づいた。


そういえば、想像錬金術イマジンアルケミーのことを話してなかったな。


「ローガー、やっぱりびっくりしたか?」


「当然だよ……。

 開どのは何をしている、なぜそんなに野菜と穀物が育ち続けるのだ……?」


「俺はついこの前、別世界からこの世界へ神に転移させられたんだ。

 その時にもらったスキルで色んなものを作れるようになってな、それで育ててるんだ。」


「神に……信じられんが現実を目の当たりにすると信じるしかないようだな。」


神の思惑通りになりたくないが、これが一番手っ取り早い説明だということに気づいた。


「信じられないのも無理はないさ、そういえばローガーはこれからどうするんだ?」


「里のために狩りをして獲物を持ち帰るつもりだったが、それどころではなくなったな。」


「ん、何かあるのか?」


「ウェアウルフ族の里にいる一族ごと、こちらで住まわせていただけないだろうか。

もちろん労働はする。」


俺は吹き出してしまった。


「今の里を捨てるのか!?

 それはいくらなんでも早計すぎないか?」


「早計などではないさ、開どののスキルを見て確信した。

 今の里にこだわっても、氷の季節では里の者全員が満足に食事を出来ない。

 それどころかを決断しなければならない時だってある。」


確かに、蓄えがないと冬を越すのは一苦労だろう。


間引きの選択は本当に究極だ、辛すぎる……。


「だがローガーの意見に皆が納得するか?

 俺としては狩りの人員が増えるのはものすごくありがたいから問題ないが。」


「狩りだけじゃない、家畜の世話も出来るぞ。

 手先の器用なものもいる、各々にあった仕事を与えてくれれば確実にこなさせるさ。」


「畜産が出来るのか?

 ますますこちらにもありがたい提案だよ。」


「お礼の品にもならないかもしれんが、先に言った労働と里に居る家畜の所有権を開どのに譲る。

 俺は里の長だ、里の者は説得するからどうか頼む。」


めちゃくちゃ頭下げられた。


「そんな頭を下げなくていいぞ、ローガー。

 それにここで取れた作物や食べ物はみんなのものだ、俺だけのものじゃない。

 家だって建てておくさ。」


俺がそう言うと、ローガーは涙を流しながらお礼を言った。


本当に氷の季節が辛かったんだな、俺と一緒に暮らして助かるならそれが一番だ。


「家族が10組、全部で60人ほど住人がいる。

 家は自分たちで建てる、そこまで世話にはなれない。」


ローガーがそう言ったので、大きめの家を目の前に錬成した。


想像錬金術イマジンアルケミーで一瞬だ、家を10棟増やしておくぞ。

 早く呼んできてやれ……ってあれ?」


ローガー、気絶してた。




しばらくすると目を覚ましたので、ローガーは里に戻ることに。


狩りから戻ってきたタイガを護衛としてつける。


あとはポーションの在庫をあるだけ、また補充しておこう。


ローガーは大丈夫と言ってたが念のためだ。


「みんなー、ウェアウルフ族が全部こっちへ来ることになった。

 仲良くしてあげてくれよー。」


俺がそう大きな声でいうと各々「はーい。」と返事。


特に問題なさそうだな、さて家を建ててしまおう。


そういえばドワーフ族とプラインエルフ族はこっちに来なくても大丈夫なのかな。


ちょっと聞いてみるか。


まずはデニス。


「ドワーフ族はいずれ少しずつこっちへ来ると思うぞい。

ワシが2日も3日も帰らないということは満足してるんだと気付くはずじゃ。」


そうなのか、少しずつならその場で対応して問題ないだろう。


次にメアリー。


「プラインエルフ族は移動してこないと思います、長老とその周りが頑固で古い習わしを大事にする方々なので。

 若い世代は移動したがると思いますが、里を飛び出してるので私が里の皆と会いづらいので話す機会もないですし。」


「大変そうだな、プラインエルフ族。」


「そうですよ、だから飛び出したんです。」


移動はないと考えておこう、こちらも来たらその時で。




さて、家を一気に増やすことになったな。


しかしずっと森の中で生活圏を広げ続けるのも危険がある。


オーガが出たって言ってたし、オークの大量発生の件もあるからな。


今後は平原のほうに拡張するようにしよう。


ウェアウルフ族の住宅地を平原側に建てた。


近くには牧場も作っておく。


楽しみだな。


あと作るものは、酒蔵と大きめの調理場。


明日デニスの完成品を見て作ろう。


俺の家と住宅地に広場を意識して空間を作ってるので、たまには宴会も開きたいな。


歓迎会はここで開こう。




晩ご飯を食べ、みんなで晩酌を楽しむ。


飲みすぎないようにな。


「ウェアウルフ族が全員こちらに来るんですね、ちょっとびっくりしました。」


メアリーが、ふと口を開く。


「住み慣れた里を捨ててくるんだからな、俺もびっくりしたよ。」


「里を移動するのはさほど珍しいことではないですよ、作物の不作続きや狩りの成果が落てきたり……理由はさまざまです。」


間引きがあるって言ってたし、やはり種族が生きるためにはなんだってするんだろう。


ここに居る皆は幸せになってもらうように色々考えなきゃな。


「ウェアウルフ族が来ても毛皮だからってデレデレしないでくださいよー?」


メアリー、酔ってるだろ。


毛皮に欲情することはないから。


くっつくんじゃない、柔らかいのが当たってる。


早く寝なさい。

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