第9話 ドワーフ族が予定より早く到着した。

メアリーとラウラがドワーフ族の里に向かった。


もうすぐ調味料や食べれる野菜が手に入る。


楽しみだな。


台所は前の世界では当たり前に上下水道が通ったもの、火もガスかIHしか使ったことがない。


どういうものを使ってるか聞かなきゃな。


作ってくれるまでは、さすがに無理か。


俺と取引が成立すれば、ドワーフ族の里にも行ける。


そこで見せてもらおう。


どういうものかと素材が分かれば想像錬金術イマジンアルケミーで作れる。


さて、その間に俺は家の改築と寝具の調達をしよう。


メアリーの弓を直した時、麻のような葉が素材になった。


と、いうことはそこから繊維が取れるということだ。


繊維があればシーツが作れる、これは大きい。


中に入れる綿花のようなものがあればと思い、タイガと平原を歩いている。


しばらく歩いたらそれらしいものを見つけた、よかった。


メアリーが現在稔の季節で、もうすぐ氷の季節だと言っていた。


恐らく今は秋で、次が冬だろう。


四季があるのにはびっくりだな、おかげで気候への対策がしやすい。


もしかしたらと思い、木綿に似た植物を探しに来て正解だったな。


落ちていた種を持って帰って、想像錬金術イマジンアルケミーで栽培と収穫を繰り返す。


すると、素材にしていた畝の土ではなく森の土が光り出した。


そうか……栄養が無くなったのか。


変なとこがリアルだが、考えれば当たり前のことだ。


タイガと狩りに、オークが2匹狩れてタイガが内臓を楽しみにお座りしている。


ごめんな、今回内臓は半分無しだ。


次は全部食べていいからな。


1匹は食料に、もう1匹は肥料に。


その後、畝と想像錬金術イマジンアルケミーで合わせる。


畝に肥料を混ぜ合わせるくらいは自分でしたほうがいいかな……。


朝の運動以外しなくなりそうだし、次は自分でやろう。


充分な量の綿花のようなものを収穫。


これで布団を4組と、タイガ用の巨大クッションを作る。


タイガがクッションで喜んでる、嬉しい。


布団の収納場所と、ついでに客室と寝室も作るか。


最初に作った場所はリビングでいいな。


使いやすそうなレイアウトを思い浮かべて作成、これで家が倍くらいの広さになったな。


一人だと持て余しそうだが、客人が確定してるので不自由はさせたくない。


特にドワーフ族には絶対泊まっていってもらう、色々聞きたいからな。


メアリーとラウラは旅を続けるだろうし、無理には引き留めれないだろう。


仲良くなれたし、残念ではあるが。


後は再び狩りに出て肉を補充し、ご飯を食べて活動終わりだな。


イノシシが居たのでイノシシ肉になってもらった。


生姜焼き、ぼたん鍋……。


生姜もほしいな。


今日もご飯はまたオーク焼肉素材味。


イノシシ肉はみんなが来たら振舞おう。


昨晩塩をメアリーからもらえたが、やはり調味料は大事だ。


塩だけでも充分にありがたみを感じれたからな。


早急に解決しなくては。


あと、食べれる野菜。


たまに草も食べてるけど、おいしくないんだ。


さて、そろそろ寝よう。


布団の寝心地はとてもいい……タイガ、無理に入ってくるな、お前にはちょっと小さいから。


隣にクッションを置いて、並んで寝た。




朝。


朝食と軽い運動を取る。


前の世界ではこんなのんびり出来なかったな。


食の改善はもうすぐ出来そうだし、こっちの世界はのんびり楽しんで過ごせそうだ。


魔物が居るから命の危険はあるが、タイガが守ってくれる。


いざとなれば、想像錬金術イマジンアルケミーで肉塊にでもすればいい。


ちょっとグロいけどな……。


戦いは見るのは好きだが、当事者となるのは嫌だから想像錬金術イマジンアルケミーを選んだんだ。


狩り以外では、なるべく戦いのない生活を送りたい。


そんなことを考えながら、ふと思い立つ。


女性が来るのが確定してるのに、トイレがない。


俺はその辺で済ませてたから。


女性にそんなことを強いるのは失礼だと思う。


上下水も引けないし、処理もやり方を知らない。


どうやってるんだ?


とりあえず陶器で便器が作れないか試すと、その辺の石と砂で出来そうだ。


一旦キャンセルし、家に男女別の個室を作成。


その地下にかなり広めの空洞を作り、便器を作って空洞と繋げる。


簡易トイレの完成だ、処理のことは後で考えよう。


肥料にもなるし、どうにか出来るならそれに越したことはない。


紙は…その辺の木から作るか。


よし、トイレ解決。


タイガと平原になにか役立ちそうな植物はないか探すと、何かが近づいてくる。


割とものすごい勢いで。


なんだ、魔物か!?


そう思って身構えると、声が聞こえる。


「止まって!止まってデニスさぁぁぁん!もうすぐ着きますからあぁぁぁ……!」


メアリーの声?


3日くらいかかるんじゃなかったのか?


よく見ると、ドワーフ族らしき人物にメアリーとラウラが引っ張られて走っている。


大丈夫か?


俺の近くになると徐々にスピードを落とす。


「ぜぇ……はぁ……開様、平原に出てくれてて助かりました……。」


「デニスさん……早すぎるです……。」


メアリーもラウラもバテバテだ、1日かかるとこをずっと走りどおしだったのか?


「あんたが開どのかい?」


ドワーフ族に問われる。


「そうだ、開 拓志という。

 あんたの名前はさっきメアリーが叫んでた、デニスというんだな。」


「そうだ、デニス・グロスという。

メアリーから話を聞いて居ても立っても居られなくての。

 植物や野菜を一瞬で育てれると聞いたが。」


そこだけで食いついてきたのか、かなり非常識なことだと思うが。


「確かにそうだが、土の栄養が無くなると無理なことが昨日わかったよ。

 しかし、よくそんな与太話に近いことを信じたな。」


「メアリーとラウラには世話になっとるからな、2人の言葉じゃなければ怪しかったぞ。

 そんな変な嘘をついて、ドワーフ族の信用を失うメリットは2人にないからの。」


それもそうか。


「だが、信じてもやはり見てたいの。

 言われたように野菜の種は持ってきた、塩と調味料もな。」


やった、ついに味付きの料理が食べれる!


「いいぞ、とりあえず1種類だけもらっていいか?

 出来れば野菜がいいんだが。」


「心配するな、ここにある種類の種は全部食える品種だ。

 肉しか食ってないと聞いたんでな、何をするにしてもまずは飯が大事だろ?」


さすが食にこだわるドワーフ族だ。


「わかった、すぐそこに家があって育てる用の畝が家の前にあるから来てくれないか?」


「うむ、わかった。」


家に4人とタイガで向かう。


ボソボソと3人で話してる声がちょっと聞こえた。


「ホントにデモンタイガーを使役してる、聞いてたけど怖かったぞ……。」


「デニスさん、最初は誰だってそうなるです。」


「私はまだ怖いです、最初より慣れましたが!」


聞こえてるぞ。


タイガがちょっとしょんぼりしてるから、そのへんでやめてやってくれ。

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