スチームパンク銃の副作用
「何?それは誰だ?」
「フランだよ」
「フラン?どうしてアイツが」
突飛な名前が上がり、今度は納得のいかない表情を見せる。フラン?
彼はあの銃で自分自身を撃ったのか?いや、人間であれば死ぬだろう。リュクレーヌには全く想像がつかなかった。フランが『マスカレイドラビリンス』の魔術にかかっている事なんて。
「副作用……だね。フランは僕から貰ったスチームパンク銃の所有者になった。この銃の所有権を得た瞬間『マスカレイドラビリンス』に中てられたみたいだ。ほら、彼も兄さんと同じようにマスカから解放された魂が見えていただろう?」
「!」
「それに、彼の思いに連動して銃は形を変えたりした。彼がマスカレイドラビリンスの呪いにかかっていたからだよ」
「大量の魔力を使って倒れたのもそれでか……」
「この魔術は随分と強力なものだったみたいでね。僕も予想外だった。」
強力すぎる術故に副作用が強い。銃の所有者となっただけで魔術に中てられる。だとしたら──
「フランは、どうなるんだ?この魔術は解けるのかよ!」
「残念だけど解けないよ。この魔術の効力は不変と永遠だよ。例えフランが銃の所有権を放棄しても、その魂が消えるまで永遠に不変の魂を持ち続けるんだ」
ルーナエは申し訳なさそうに視線を地面の方へと向けた。そして、哀しく呟いた。
「正に、呪いだよ。『マスカレイドラビリンス』は」
「呪いって……」
リュクレーヌも神妙な面持ちで呟く。
「フランを心配するなら、あまりうかうかはしてられない」
ところが、ルーナエはフランと言う人物名を聞いて思い出したように、話を切り替えた。
「彼は今、ファントムに攫われて、魂を狙われている」
「魂を?」
「ファントムを倒せるのは銃の所有者であるフランだけ……正確にはフランの魂だけだ」
「なっ……!?」
「あの銃で撃たれたマスカは魂と肉体を引きはがされる。乖離を強制的にされるって事だね。兄さんみたいに自分に憑依しているマスカだと逆に魂を永遠に肉体に閉じ込められる。つまり、僕に躰に憑依しているファントムは──」
「乖離される」
リュクレーヌは目を見開いて言った。フランの銃でファントムの魂を乖離する事が出来る。
「そう。その上で、僕が『マスカレイドラビリンス』を発動するとどうなるか。ファントムの魂には撃たれた時点でマスカレイドラビリンスの呪いがかかっているから、ここへ呼び出せる。つまり、フランがファントムを撃てば全て終わりなんだ」
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