ネオン新聞社の裏
「どうも、こんにちは」
「おや、探偵さん達。今回は一体何の用で?」
御託はまどろっこしい、とリュクレーヌは今日の新聞の一面を飾ったゴーレムの編集長の記事を机に叩きつけた。
「いやー、ゴーレム様すごいですね。この新聞でもでかでかと掲載されているときたもんだ」
「えぇ、この写真よく取れているでしょう。ジャニーが、命がけで撮ってきたものですよ」
相変わらず、人を食ったような笑顔で編集長は冷静沈着に対応する。
それならば、単刀直入に聞く他ない。リュクレーヌは編集長の方を皮肉を込めながら睨んだ。
「それで?ゴーレムにはどんな裏があるんだ?」
「裏?はて、何の事でしょう」
「とぼけんなよ。どうせ今回も何か知ってんだろ?」
前回、あれ程に推していたアマラ軍には裏切り者がいた。今回のゴーレムも、今は人間の為にマスカを倒しているが、本当は裏切り者でファントム側の勢力かもしれない。
いや、その可能性は十分にある。
ゴーレムとマスカは同一の存在なのだから。所有者が黒か白かで、ゴーレムがどういう存在なのかは分かるはずだ。
だからこそ、ゴーレムについて知っている事をこの編集長からは洗いざらい吐いてもらうつもりだ。
「今回も?あぁ、アマラ軍の事を言っているのですか?恐ろしいですよね、まさかファントムとグルだったなんて」
ところが、編集長はしらを切る。リュクレーヌはいら立ちを隠せずに舌打ちをした。
「最初から、これが目的だったんじゃないのか?」
「え、どういう事?」
フランがリュクレーヌに尋ねる。
「アマラ軍を貶めて、ゴーレムを持ち上げる。アマラ軍は踏み台に過ぎなかったって事だ。」
ネオン新聞社の本命はゴーレムだったと踏む。アマラ軍に世間的な注目を集めた後に、オクトの裏切りを報道し、信用を地に落とす。
そこにゴーレムという新たなヒーローを用意すれば、人々はみな彼らの虜だろう。
「面白い推理ですね」
「そりゃどうも」
「では、証拠は?どうせないんでしょう?」
そう、これらはあくまでもリュクレーヌの推測だ。例えゴーレムが黒い存在であっても、この新聞社と関係がある証拠はない。
リュクレーヌは「クソ……」と言いながら顔を歪める。
「言いがかりはやめていただきたいですね。ほら、帰ってください」
してやったりの表情で編集長は言い放つ。二人は新聞社から追い出されてしまった。
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