協力者の正体
犯人の名前を告げる。フランの上司であり、彼と共にルーナ探偵事務所に初めて訪れた者だ。
クレアは頷き、「分かったわ」と従うしかなかった。
数分後、クレアに連れられてオクトが現れた。
彼は、フランとの再会を喜び「久しぶりだな」と声をかけた。
しかし、フランの表情は曇っていた。これからオクトを摘発するのだから。
深く、息を吸う。落ち着いて、いつもよりも低いトーンで、「オクトさん」と声をかけた。
「単刀直入に言います。貴方はファントムとグルなんでしょう」
「何を言っているんだ?」
オクトは、きょとんとしながらフランの顔を覗き込む。
「はぐらかさないでください」
「いや、何を言っているんだ。ファントムと俺がグル?」
何も知らないという素振りをオクトは見せる。
──それでも、この人以外ありえないんだ
フランは、悔しさと怒りを複雑に織り交ぜた視線を送った。
「大体。お前が協力者だと自首してきたんだろう?それを今更私に罪をなすりつけようとするのか?」
「しらばっくれても無駄です。証拠もあるんですよ」
「何?」
「まず、アマラ軍に協力者がいることについて話しましょうか。」
分かってもらえない。それならば自分が根拠を示すしかなかった。
「そもそも、ファントムの身元を引き受けたのはアマラ軍。取り調べこそクレアたちガーディアンが行っていましたが、軍内部に拘束されていることからアマラ軍がファントムに接触すること自体は安易でしょう。少なくとも、一般の人達よりはね。」
「確かに、アマラ軍内部の人間はここには容易に来れるわ……オクトさんほどの地位の人なら……」
「それに、船の沈没事故で出た死体を回収したのはアマラ軍だ。軍内部の人が、ファントムに死体を横流ししたり、或いはマスカにしたりすることも出来たと思う」
そう、大量の死体を保有していたアマラ軍が、それらをファントムに引き渡すことなど容易だった。
「まぁ、あとは新聞社がアマラ軍を推して、アマラ軍をひいきする流れを作っていた事かな。軍の都合のいいように事が進んでいると思ったんだよね。」
「だが、それではアマラ軍に協力者がいるという事しか分からないじゃないか。私だと特定する証拠は!」
「ありますよ?」
フランは、冷たく言う。
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