自首大作戦
「でもアマラ軍って言っても沢山人がいるよ。特定するなんて……」
「いいや。出来る。奴がとんでもない事を口走ってくれたおかげでな」
リュクレーヌは自信満々だ。奴?誰だろう……とフランは俯く。
いや、確かにいた。彼しか知りえない情報を口走ってしまった者が。
「……あっ!そうか。なんでアレを知っているの?ってなるもんね!」
「そういう事だ。頼んだぞ。あ、あとこれを持っていけ」
手に持っていたのは小さなブローチだった。手渡されてすぐ、フランは鞄にしまった。
「うん。わかった。」
こくりと頷く。作戦は決まった。リュクレーヌはリュクレーヌで別の動きをするという。
「じゃあ、今日はもう寝るぞ。明日に備えてな」
「うん」
大丈夫。きっとこの作戦は上手くいく。不思議と自信があった。
◆
アマラ軍本部。ここに来るのは2ヶ月ぶりだ。ファントムを捕らえる作戦のために、アマラ軍と共に戦ったきりだった。
「こんにちは」
受付まで行き、一人の女性に声をかけた。
女性はフランの顔を見るなり、目を丸くした。
「あら、フラン君じゃない!久しぶり」
「お久しぶりです!アイラさん」
アイラはフランのアマラ軍時代の知り合いだった。
互いの雰囲気からして、それなりに仲のいい知り合いだったのだろう。
「元気にしていた?なんか、急に辞めちゃったから心配したのよ?」
アイラはフランがアマラ軍をクビになった事、辞めた理由を知らない。
そもそも、それなりに仲のよかった軍内部のアマラも知らない事情だ。
誤って人を撃ってしまったという理由が理由だけに、クビであることも伏せられていたらしい。
流石に、本当の事をいう訳にもいかなくてフランは笑って誤魔化す。
「いやー、心配おかけしてすみません…」
「それよりも、何の用かしら?」
「これを」
フランはガンホルダーからスチームパンク銃を取り出して、アイラに見せる。
「え?これって銃……よね?」
「えぇ、ファントムから貰ったものなんですよね。これ」
「ファントム!?」
「つまり、自首です」
「!?自首って……何したの!?フラン君!」
アイラの顔色がみるみると青ざめる。
隙を見せたのをいい事に、フランはそのまま銃を構えて、アイラに突き付けた。
「まだ分かりませんか?僕が協力者なんですよ。ファントムのね」
「嘘……そんな、誰か!助けて!!」
流石にマズい状況だと理解し、彼女は強く叫び、助けを求める。
周りにいるアマラ軍も驚き、一瞬、狼狽えた。
だが、狼狽えなかったアマラが一人だけいた。
「何をしてるの?」
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