口止めと脅迫
「へぇ……アンタらのとこの編集長とやらが全部知っているわけか」
編集長の口止め。つまり、ネオン新聞社へ行けば事件の核心に一気に近づく事が出来る。
「編集長に会わせろ。どうせこれから新聞社に戻るんだろ?」
「お前ら……何の権利があって!」
ここは一歩たりとも引けない。リュクレーヌは畳みかける様に、彼らに要求する。
だが、エディもジャニーも一筋縄ではいかない。こうなったら、とリュクレーヌは切り札を切る。
ある人物の名前を口走った。
「アドミラ・スティノモス」
「誰だ?そりゃ」
「なんで……その名前を」
「え?先輩。誰です、それ?」
「アマラ軍の一番偉い奴だよ!」
「そう、俺たちはアマラ軍司令の下動く私立探偵だ」
「僕はアマラだけど、訳あって助手をやっているんです」
自分達の素性を明かすと、エディの顔色はみるみる青くなっていく。
どうやら、アマラ軍には逆らえないようだ。
「俺たちは今、ファントムの協力者を探している。」
「協力者?」
「リュクレーヌ、この人たちが協力者なんじゃないの?」
「いや、タレコミ元の方が気になるところだな。そいつがきっと協力者だ」
「だから編集長に会いたいって事か」
編集長が口止めをした。情報のリーク元、つまり協力者を知っているのは彼しかいないだろう。
「というわけで、俺達の捜査に協力しろ。駄目だと言うならお前らが崇め奉るアマラのお偉いさんに告げ口するからな」
「ひぃっ」
リュクレーヌが脅す様に言うと、記者たちは悲鳴をあげて怯えた。
そのまま渋々とネオン新聞社の方へ二人を案内する。
「ちょっとかわいそうだったかな」
「これくらいは仕方ないだろ。まっ、俺にしては荒っぽい方法だと思うけどな」
「いつもこれくらい無茶すると思うんだけどなぁ……」
「何か言ったか?」
「なんでもないよ」
軽口を叩いているうちに、新聞社まで着いた。階段を上がり、二階の前へと立つ。
先に、記者二人を入室させる。怪しまれないためだ。
「ただいま戻りました」
「随分と遅かったな。取材は上手く行ったのか?」
「それが……」
気まずそうにジャニーが沈黙する。
「いくぞ」
タイミングを見計らい、リュクレーヌとフランが突入した。
中は随分と暗い。だが、人や物がどこにいるか、あるかくらいは分かる。
「どうも。アンタが編集長?」
編集長と思わしき人物は奥のデスクのヴィンテージ加工の椅子にどっかりと座りこんでいた。
髭を蓄え、メガネをかけて、一見紳士的だが、どこか嫌味な雰囲気を持っていた。
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