君が黒幕のはずなのに
「ファントムの姿を見た人はこの世に誰もいない……僕以外はね」
「!?」
世界にただ一人の目撃者は悲しそうな瞳で言う。
フランが、ファントムと遭遇していた。
次から次へと重ねられていく事実にリュクレーヌは混乱する。
「ファントムに……会った事があるのか?いつ!?どこで!」
思わず声を荒らげてフランの肩を揺さぶった。
彼が銃を持っていることなど忘れてお構いなしに。
「なんで……なんで覚えていないんだよ!!ファントム!!」
フランは叫んで銃を構える。
グリップを握る手には力を込めて。
憎しみの眼をリュクレーヌの方に向けて。
「俺が……ファントム?」
銃口と、疑いを向けられたリュクレーヌは両手を小さく上げながら、聞き返した。
本当に何も知らない。心当たりなど無い。といった真っ白な様子で。
嘘のようには思えない。
もしこれが演技だとしたら、彼は今すぐ依頼もない探偵なんかやめて役者にでもなった方が良いだろう。
「……本当に、分からないの?」
フランは悲しそうに銃をゆっくりと下ろす。
リュクレーヌは「あぁ」と返事をして、フランの名前を呼ぶ。
「なぁ、フラン。何が、あったんだ?君と、ファントムの間に……」
答えたくないのか、フランは黙秘する。
だが、ここで諦めるわけにはいかない。心苦しいが、リュクレーヌは尋問を続けた。
「もしかして……亡くなった家族の事と関係があるのか?」
「……うん」
話さなければならない。
フランはぽつり、と呟いた。
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