第27話 再戦③

「第2ラウンドトイコウ。」


その言葉を発すると同時に、プレデターゴブリンの圧力が膨れ上がる。


強化系のスキルを全力でかけたのだろう。だが、腹から血が止まらない以上、長くは持たない筈。短期決戦型だ。


逃げて倒れるのを待つ、という戦法はとれない。パラメータはあちらの方が遥かに上なのだ。背を向ければたちまち追いつかれ、殺される。


「……ならこっちも、奥の手だ。」


ついさっき手に入れた、『超越化』のスキル。満を持してそれを起動させる。


プレデターゴブリンは俺たちより後にボス部屋に来た。つまり、コイツはこのスキルも『称号』も持っていない。


紛れもなく俺とユイナさんが持つ強力なアドバンテージだ。


◆◆◆

『超越化』

1日につき10秒。発動すると、己の攻撃の全てが相手にとっての致命傷となる。

◆◆◆


「ああああああああッッ!!」


「ヌァァァァァァッッッ!!!」


瞬き一つの間に何十回も剣と斧がぶつかり合う。俺の身体にも切り傷がどんどん増えるが、『自動回復』の力が反映されているので気にせず斬り続ける。


一方、プレデターゴブリンは当たる攻撃全てが致命傷。たとえ高レベルの『自動回復』といえど、回復が追いつかない。


「ガ…ッ、ガフッ!」


吐血。大斧にもヒビが入っていく。当然だ。大斧にとっても斬撃は致命傷になっていたのだから。


「あああああああああああああッッ!!!」


「ウガッ…ッ!! ガァァッ!!?」


こちらの動きは段々と鋭くなり、やがてゴブリンの機動力を上回る。


そして。


「ガァァァアァァァァァッ!!?!」


一閃。


「はぁ、はぁ、はぁ……。」


10秒間が終わる。仰向けに倒れているのはゴブリンで、立っているのは俺だった。


「……ゴブリン。」


ユイナさんは来ない。


「……見事。オ前ノ勝チダ。」


ひと息ついて、倒れているプレデターゴブリンの前にいく。


「……俺は見逃さない。ここでしっかり、息の根を止める。」


「アァ、ソレデイイ……。」


「……じゃあな。これまで戦ってきた中で、お前がダントツで強かった。」


喉に剣を突き立てる。魔剣は深く突き刺さり、やがてその命を刈り取る。


《【ワールドアナウンス】魔王の討伐が確認されました。規定に基づき、全迷宮での魔物氾濫を停止します。》


《【ワールドアナウンス】魔王の討伐が確認されました。地上での無からの魔物生成が停止します。》


《魔王討伐者への特典として、称号『救世主』が与えられました。》

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