第26話 再戦②

「『転移』ッ!!」


「ムッ?」


『空間魔法』の習得で使える、簡易的空間移動。視界に入る場所なら何処にでも一瞬で飛ぶことができる。


魔力の消費は距離で決まるので、プレデターゴブリンの周りに範囲を限定するなら問題ない。


転移での撹乱は、如何にコイツといえど慣れるのに時間がかかる。


その間に、俺はどうしても確認しておきたいものを見る。


「……なるほどな。」


「バルァッッ!!」


「……ッ!」


ただの大振り。だが、衝撃波が飛ぶことで、回避を余儀なくされる。


「甘イ。」


「まだだッ!!」


剣術のスキルにポイントを振り、レベル10にする。


パラメータで劣っている以上、競うのは技術だ。


「『消音』『隠密』……。」


「ヌ?」


「余所見してていいのか!?」


「ムウッ!」


一撃一撃を、落ち着いていなし続ける。


「冷ヤ汗ガ、隠セテイナイゾ?」


「そうか……ッ!?」


1度しくじれば真っ二つのこの状況に、ガンガン集中力が削れる。切れたら終わりだ。


「『大海魔法』。」


プレデターゴブリンの足元を濡らして滑りやすくしたり、これでも色々と工夫しているんだが……今のところ、効果は見えない。


せめてもの救いは、あちらも俺に集中していることか。


その目が俺だけに向いているなら、それはもう俺たちの勝ちだ。


「……ごめんな、ゴブリン。」


「ナンダ? 気デモ狂ッタカ!?」


先程の『消音』と『隠密』で隠れたのは、俺じゃない。


「……俺は今回、1人じゃないんだ。」


「何ヲ……ッッッッ!!?!??!?!」


プレデターゴブリンの脇腹から、突如多量の血が噴き出す。『自動回復』が機能していない。治そうとする力を、他の何かが邪魔しているように見える。


「ナ、ナンダ……。」


「……さっき俺が話していただろ。ユイナさん……もう1人の人間に、チャンスを狙って動けって。」


「……ソウダッタナ。聞イテハイタガ、頭カラ抜ケテイタ。……俺ノ失態ダ。」


脇腹を抑えながら、プレデターゴブリンがそう言う。


ユイナさんはまだ隠密中。隙があればまた突いてくれるだろう。


「……切リ替エテ、第2ラウンドトイコウ。」




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