第20話 目が覚めて

一体どのくらいの時間が経ったのだろう。私が目を覚ますと、外は既に夜となっていた。


「ここは……。」


「おっ、起きたか。」


「……あ。」


私を気絶させた張本人。顔は見えないけれど、仮面越しに目が合った。


彼(?)はお肉を焼いている最中で、魔物が来ないよう周囲の見張りをしているようにも見えた。


そして、お肉をじっと見つめる彼に、私はまず言わなければいけない言葉がある。


「……ごめんなさい。」


「ん?」


頭を下げる。下げたまま、続ける。


「…いきなり攻撃して、話も聞かなくて。あの時言われた通り、口だけの人なら取り返しがつかなかった。本当に、ごめんなさい。」


言い訳するつもりは、ない。私はあの迫力に勝手に恐怖して、勝手に敵と定めた。


「あぁ、そのことか。」


得心が行ったように苦笑が聞こえる。


「気にしてない。お前も気にすんな。」


「……そう、ですか。」


何とも思ってない、本当にどうでもいい時に出る声色。まるで私を脅威と認識していない。でも、それだけの強さがあることを、一度戦ってみた私は知っている。


「……強いん、ですね。」


思わずポロッと口に出る。


「まあ、それなりに頑張ったからな。」


返事をしてくれる。


何でか分からないけど、ちょっと嬉しい。


「……これから、何処に行くんですか?」


意図しない言葉が口からこぼれる。


すると、少し間があった後。


「二大迷宮の片翼。攻略するんだ。」


と返ってきた。


「……っ!」


まるで当たり前かの様に言われた「攻略」という言葉。驚きで目を見開く。


「どうして、そんなこと……」


「誰かがやらないといけない。なら、できるやつがやった方がいいだろ。」


表情は見えない。だけど、その一言には確固たる自信があった。


必ず攻略できるという強い自信を、肌で感じてしまった。


「それは……」


何を言えばいいんだろう。無謀?

私よりも強い人に?


ここまでハッキリ「できる」と宣言する人に、わざわざやる気を削ぐようなことを言う意味は……?


私だったら、自分より弱い人に、迷宮に入ったこともないような人にそんな口を利かれたら、少なくともいい感情は抱けない。


それに、もう片翼という言葉。きっと、あのアナウンスでの攻略者とは、この人のことを指している。


言葉が詰まる。


だけど一言。一言だけ。


「それ、は……」


これを言っても、迷惑。言っちゃダメ。


そんな考えがグルグルと頭を巡る中で、何故か浮かんでしまった言葉。



喉につっかえた言葉を、発する。

















「……私もついて行って、いいですか。」





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