第18話 コミュニティ②

「さてさて、どうしようか。」


会議室にいた人間が校庭を窓から覗いている頃、俺は既に校舎の屋上に立っていた。


と言ってもただ突っ立っているだけではなく、人的被害が出ぬようワイバーンの放ったブレスを人知れずかき消したりはしているのだが。


ワイバーンの持つ属性が目に見えにくい風魔法のお陰で、不自然には思われていない。


「想像以上にみんな戦えてないし…うーん、あの人とか、守りに専念すれば結構もつと思うんだけどな。」


◆◆◆

ダイゴ・クドウ

種族:人族(1/100)

職業:上級重戦士(18/80)


筋力:1080

魔力:360

体力:1080

耐久:2160


スキル SP:20

『盾術Lv3』『物理攻撃耐性Lv3』

『筋力上昇Lv4』『耐久上昇Lv3』

『剣術Lv1』

◆◆◆


少なくとも、周りの非戦闘職が逃げるくらいの時間は稼げる。なのに何故、紙装甲の剣士達を囮に使って、背後から奇襲を仕掛けようとするのか。


普通逆だろう。


「ほんと、何やってんだ?」


風魔法で剣士たちの被弾を軽減しながら、そんなことを呟く。


剣を持っていないのに『剣術』のスキルを取っている時点で予想はしていたが、やはり脳筋か? 焦りで周りが見えていないのもありそうだ。


ワイバーンに立ち向かっている7人の戦闘職のうち上級職は彼一人。


半分以上が下級なので、しっかりしてほしいものなのだが……思うに今まで大した苦戦をしたことがなかったんだろうな。


俺の場合は1度挫折したお陰で油断を捨てきれた。もしかしたら、自分がこの場で最も強いという自負が、ここで窮地に立たされる原因なのかもしれない。


「まあいいや……。ちょうどいいし、さっき取ったスキルでも試すか。」


いつまでも見ていられない。自分は自分のやることをさっさと済ませるとしよう。


周りに被害が及ばぬよう、しっかり範囲を抑えて……


「『威圧』」


ドン…ッ!!


静寂が降りた。


先程まで暴れ回っていたワイバーンは白目を剥き、巨体をズシンを前に倒す。


『気配察知』から生命反応が消えたので、確実に死んだ筈だ。


「……人に使う時は加減しないとかな。」


恐怖も度がすぎれば死ぬ。人間相手に間違いが起きる前に知れてよかった。


「……行くか。」


この程度、恩を売るほどでもない。呆気に取られている重戦士たちを置いて、新たな迷宮を探す旅にでも出よう。


そういう意味で、背を向ける。


が。


「……む。」


高速の接近反応。『気配察知』が捉えた力は、ワイバーンとは比べ物にならないほどに大きい。


「……『創造』、仮面。」


それ相応の強者。速さからして、模様を考えている暇はない。無地の黒仮面を創造し、深く顔に被せた。


すぐに『危機察知』が警鐘を鳴らしたので、攻撃の迫る箇所に剣を構える。


「……ッ!」


威力から考えるに、迷宮外では向かうところほぼ敵無しだったのだろう。平然と弾いたことで、剣から動揺が感じ取れる。


随分と綺麗な人だ。恐らく同年代だろう。


しかし、敵対している以上容姿はどうだっていい。『鑑定』を仕掛ける。


すると……


「……ははっ!」


その正体を知って、思わず笑いが込み上げてきた。薄々分かってはいたが、まさか、存在したとは。


◆◆◆

ユイナ・マツオカ

職業:勇者(89/500)

種族:超人(2/100)

筋力:44900

魔力:44900

体力:44900

耐久:44900


スキル SP:80

『光魔法Lv8』『剣術Lv7』

『聖剣Lv4』『全攻撃耐性Lv3』

『限界突破』『勇者』『格闘術Lv5』

『筋力上昇Lv4』『魔力上昇Lv4』

『体力上昇Lv4』『耐久上昇Lv4』

『危機察知Lv4』『身体能力強化Lv3』

『痛覚軽減Lv4』『精神安定Lv4』

『能力超化Lv2』『自動回復Lv3』

◆◆◆


『鑑定』した際何か違和感でも感じたのか、こちらに警戒した眼差しを向けてくる。


「貴方は……何者、ですか?」


「……いきなり斬りかかってくる奴に、教えたくはないかな。」


恐らく先程の『威圧』に反応してやってきたのだろうが……変に興味を持たれても面倒そうだ。明らかな疑心を含んでいる目に、やれやれとため息をつく。


そんな俺を見て、話をする気がないと悟ったのだろう。仕方なし、といった感じで再び剣を向けてきた。


「……なら、力ずくで知るだけ。」


「……はぁ。やっぱり、らしくないことはしない方が身のためか。」


人助けとは、やらない方が正解か。撒くのは簡単だが、逃げたと思われるのは癪だな。


「……悪いけど、少し痛い目みてもらうよ。」







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