第15話 地上へ

ドラゴン退治から2日。迷宮に落ちてからおよそ3ヶ月。


「はぁぁ……着いたぁ………。」


俺は、日光の差す地上にいた。


「まさか空間魔法による転移が、スキルを手に入れてから行った場所のみだとは……。全く予想できなかったな。」


青空を見上げながら、そんなことを呟いた。


辺りを見渡しても、人の気配はない。こんなにも天気がいいのに、公園にも子供はいない。


 そんな光景を見て、溜息をつく。


「……やっぱりか。」


新しく手に入れたスキル『鑑定眼』の機能を調べるため、一度魔物に対して行った鑑定。その効果は、予想通りのステータス覗き見だった。だが視えたものは、俺としてはとても容認できるものではなかった。



◆◆◆

名無し

種族:スライム(2/10)

職業:無職(1/30)


筋力:12

魔力:12

体力:12

耐久:12


スキル SP:10

『吸収』

◆◆◆


◆◆◆

名無し

種族:オーク(17/40)

職業:上級大剣士(1/30)


筋力:950

魔力:27

体力:560

耐久:560


スキル SP:10

『剛腕Lv3』『大剣術Lv4』

『物理攻撃耐性Lv2』

◆◆◆



「……全ての魔物に、職業があった。」


初めからあったというオチはないだろう。そうであったなら、初めて邂逅したスライム相手にステータスで負けていたのだから。


ああも容易に倒すことは、不可能だった筈だ。


「……まさか。」


冷静に考えてみて、一つの考察が浮かぶ。俺が……人間が迷宮のラスボスを倒した時、『種族』が増えたのだ。


なら、魔物がラスボスを倒したのなら。


脳裏に最悪の展開が描かれる。


迷宮内での魔物同士の争いなんて、見たことがない。だが、俺の大したことのない頭では他の理由が思いつかない。


つまり、本来の役目は侵入者の撃退であろう奴らのうち、わざわざ最下層に降りて攻略した個体がいることになる。


「……何が起こってるんだよ。」


 相手は魔物。情報は少なすぎる。

 

 力を持つ常識の通じない相手に、俺は頭を悩ませるのだった。















◇◇◇

 時は5日前。異臭を放つ異形が、大迷宮第100層に居た。


「グルァァアァァァァァァァッ!!!」


 この日から約3日後にユウキと激闘を繰り広げることになるドラゴンの咆哮。

 

 多少強い程度なら、それだけで死を免れない迫力。


 だが、異形に怯む様子はなく、反対にニチャリと表情を歪める。


「グギャッ!」


 …

  … 

   …


《【モンスターアナウンス】魔物の一体により、二大迷宮の片翼が攻略されました。》


《【モンスターアナウンス】魔物のステータスに、新しく『職業』が追加されました。》


《魔物初攻略個体への特典として、『職業』の選択権が与えられます。》


《魔物初攻略個体への特典として、『鑑定眼』が与えられます。》


《世界初の大迷宮攻略特典として、特殊進化が行われます。》


 … 

  …

《『職業』が『魔王』に変更されました。》



「グギャギャギャッ……。」


 異形は一足早く、地上へと上がっていった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る