#841

ソウルミューの決死の覚悟は失敗し、ただ一人残されたブレイクは再びローズへ斬り掛かった。


だが、気迫だけでその実力差が埋まるはずもない。


彼をふくめた四人、ブライダル、エンポリ、ソウルミューでもかなわなかったというのに、今さらブレイク一人でローズを倒せるはずもなく、先ほどと同じようにたたせられてしまう。


弾かれた無限刀インフィニティソードが地面に突き刺さり、ブレイクはローズのブーツに踏みつけられる。


「今度こそ終わりだな。仲間の声があったとはいえ、身体中の骨を折られながらもよくぞここまで戦った。その戦いぶりにめんじ、私に恥知らずなことをしたのは不問ふもんにしてやる」


「ま、まだ……終わってねぇ……」


「もういい、そこまでいくと無様ぶざまでしかないぞ。では、さきほど宣告せんこくした通りに、この神具でお前を殺すとしよう」


ローズは地面でうめくブレイクを蹴り飛ばすと、地面に刺さった 無限刀インフィニティソードつかへと手を伸ばした。


柄をにぎり、地面から引き抜こうとするが、いくら力を込めても 無限刀インフィニティソードはピクリとも動かなかった。


「なんだこれは? お前はこんな重たいものを振っていたのか? まったく動かせん」


「そいつは重たかねぇよ……。ただ、お前じゃ使う資格がねぇってだけだ」


痛みで表情をゆがめながらも、ブレイクはローズのことを笑う。


神具は使えるのは、その神具から加護かご啓示けいじを受けた者――。


奇跡人スーパーナチュラル呪いの儘リメイン カースのみ。


そして、その無限刀インフィニティソードは、それら神具をすべて一つにまとめられできたものだ。


ローズのような加護も啓示すらも与えられていない者には、何をどうしようと一生使用することはできない。


――と、まだ剣の柄を握っている彼女へ言う。


「そいつを使う資格があるのは……奇跡人スーパーナチュラル呪いの儘リメイン カースでもねぇ……。試練を乗り越え……ギブバースのババアに認められたヤツだけだ……」


「聞いてもいないことをズケズケと言う……」


ローズは剣を取るのをあきらめ、地面にいつくばるブレイクに向かって歩き始める。


それは、彼女がブレイクに止めを刺すことを意味していた。


ブレイクは手を剣へと伸ばす。


「いい加減に諦めろ。お前は今ここで死ぬ」


「オレの仕事はまだある……」


「そうか。ならば、その仕事を終わらせて死ね」


ブレイクの伸ばした手に剣が引き寄せられた。


ローズは当然立ち上がって斬り掛かってくると思ったが。


ブレイクは倒れたまま、握った剣を空高くへと放り投げる。


「血迷ったか? せっかく取った武器を捨てるなど」


「とっくの昔に血迷ってるさ……。受け取りやがれ……ミウムッ!」


「なにッ!?」


ローズが剣の飛んでいく空を見上げると、そこには白銀髪の女性がジェットパックで宙から彼女を見下ろしていた。

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