#593
サーベイランスの呼びかけにジャズが飛び出して行く。
ブライダルは呆れていたが、しょうがないといった顔で彼女の後に続き、ニコもついて行った。
「サーベイランス……あなた、あたしたちがつけていたのに気づいたのね」
「そんな話は後だ。この街の者たちを救いたいなら、まず目の前のこいつを倒さないとな」
ジャズはサーベイランスの言葉に表情を強張らせたが、すぐに腕に付けていた普通の人間がマシーナリーウイルスの適合者と同じ力を得るための
ジャズの右腕が白い鎧甲冑のような装甲を纏う。
そして、身構えると再びサーベイランスヘ声をかけた。
「全部、あんたの手の平の上だったってこと?」
「どうかな? ただ、お前がこの街の状況を知れば、間違いなく何とかしようとするはずだとは思っていたがな」
「くッ!? 悔しいけど、あんたの言う通りよッ!」
ジャズは触手のように向かってくるジェネレーターのコイルに、機械化した掌を向ける。
そこから光線を発射。
向かって来ていたコイルをすべて焼き尽くす。
これは
ジャズがコイルに向かってディストーション·ドライブを放ち続けていると、彼女の後ろからブライダルが飛び込んでくる。
「姉さんッ! とりあえずこのジェネレーターをぶっ壊せばいいんだよねッ! って、訊いといてもう止まらないけどさッ!」
ブライダルは背負っていた分厚い刃を持つ柳葉刀――いや、青龍刀を持ってジェネレーターの歯車に向かって振り落とす。
黒い光を纏ったコイルがその刃を防ごうとしたが、青龍刀はコイルごと歯車を切り裂いた。
「いいぞ、さすがは
「ちょっとブライダルッ!? ジェネレーターを壊しちゃったらどうやってこの街を湖から出すのよッ!?」
サーベイランスはブライダルの身のこなしを褒めている横で、ジャズが大慌てで叫んでいた。
だが、すぐにサーベイランスが彼女に言う。
「破壊して問題ないぞ。後で私が修理してやるからな。だから思う存分やれ」
「何を偉そうにしてんだよッ! ほら、あんたも一緒に戦いなさい! あんたの力があればあのぐらいの敵なんて楽勝でしょ!?」
「実はな。この身体ではろくに戦えんのだ。だからこうしてお前たちを使っている」
「それなら最初に会ったときに手伝ってくれって言えってのッ!」
ジャズは、サーベイランスの言い草に声を張り上げながらも、ブライダルに続いてジェネレーターへと向かっていく。
機械の拳を振り上げ、その本体と思われる歯車のような巨大な輪を殴りつける。
「ニコッ! サーベイランスを守ってあげてッ!」
そして、後ろにいた電気羊に声をかけた。
ニコはシュパッと小さな手を挙げて敬礼するようなポーズを取ると、自分よりも小さなサーベイランスの身体を掴んでコイルが届かない位置まで下がっていく。
その前ではすでに半壊状態のジェネレーターを見据えながら、ジャズとブライダル二人が並んでいた。
「姉さんいいね~。前に私が襲ったときよりも逞しくなってんじゃない?」
「無駄口を叩いている暇はないよ。いいからさっさとこいつをぶっ壊すッ!」
「はいよ~。野郎臭い展開は私の得意分野だッ!」
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