#585
サーベイランスの身体を掴んだジャズ。
彼女はそのまま生の感情を剥き出しにして声を荒げる。
「サービスはもういないってどう言うことよッ!?」
その小さな身体を揺らされながらも――。
サーベイランスは動揺することなく淡々と答えた。
そのままの意味だと。
それ以上話すことなどないと。
わりと愛らしいロボットの姿で冷たく言い放つ。
だがその答えでは、感情的になった今のジャズを納得させられるわけもなく――。
彼女はサーベイランスに詳しい説明を求めた。
だが、サーベイランスに話すつもりはないようで、何度も声を張り上げようが早く離してくれと言われるだけだ。
しばらくの間そんなやり取りが続けられたせいか。
部屋を出た男女集団が心配になったようで戻ってきたが、サーベイランスはすぐに行くと言い、彼らを先へと行かせた。
それでもジャズは説明を求め続けたが、そんな彼女を止めたのは、意外にもポニーテールの少女――ブライダルだった。
「姉さん、その辺にしときなよ。話したくない相手にそんなことをしても無駄だって」
「ブライダルは黙っててッ!」
その言葉で、ジャズがブライダルのほうを向くと、サーベイランスも彼女へ視線を向けた。
「ブライダル……もしかして、あの
「よく知ってるね。そうそう、私はあの計画で残った三人の少女の一人だよ~」
「やはりか。だがたしか、計画で成功したのは
バイオニクス共和国のとある研究所で行われた人体実験のことである。
元々はバイオナンバーからロウル·リンギングが考えていた――人間に
そこからさらに飛躍し、実質的にどんな重傷を負おうが、どんなウイルスに感染しようがすべて正常な状態に治してしまう治癒能力――
しかし、そのために大勢の少年少女が被験者にされ、その多くが能力の副産物――
その中で、唯一の成功したのがウェディングのみと言われていたが、どうやらブライダルを入れてあともう一人生き残った少女がいるようだ。
「良い子ちゃんはあの子だけだからねぇ~。私ともう一人の子はイカレてるから公表されなかったんだよ~」
暗い過去だというのに、ブライダルはあっらけらかんとした様子で答えた。
ジャズは彼女の言葉に驚いていたが、すぐにまたサーベイランスに声をかける。
「そんなことよりも今はッ!」
だが、再びブライダルに止められ、サーベイランスはその間に部屋を出て行ってしまった。
「ちょっとブライダルッ! 邪魔しないでよッ!」
「まあまあ姉さん。ここは私の言う通りにしてよ~。なぁに、悪いようにはしないからさ」
それからブライダルは、何故ジャズを止めたのかを話し始めた。
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